【現地取材・動画】日産、EVの生産用部品輸送を鉄道にモーダルシフト開始

【現地取材・動画】日産、EVの生産用部品輸送を鉄道にモーダルシフト開始

日通や神奈川臨海鉄道と連携、横浜~栃木間143kmで実施

NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)と神奈川県内の臨海エリアで貨物鉄道輸送を手掛ける神奈川臨海鉄道は10月16日、日産自動車がNXHD傘下の日本通運や神奈川臨海鉄道と連携し、横浜市~栃木県の間で生産用自動車部品の輸送をトラックから鉄道に切り替えるモーダルシフトを開始したと発表した。トラック輸送区間を減らし、「2024年問題」への対応を図るのが狙い。

中国などから輸入したEV(電気自動車)クロスオーバー「日産アリア」の生産用部品を、40ftの国際海上コンテナに積載したまま、日産の栃木工場(栃木県上三川町)向けに横浜市の神奈川臨海鉄道横浜本牧駅からJR貨物の宇都宮貨物ターミナル駅(同)まで約143km輸送する。平日に1日当たりコンテナ2本を運び、年間で温室効果ガスを140t削減できると見込む。


コンテナを搭載した貨物列車

40ftコンテナは長さなどが原因で一般的な鉄道用コンテナより貨物駅での取り扱いが難しい上、コンテナ留置スペースも限りがあるため、鉄道輸送はほとんど行われていなかった。40ftコンテナを港から内陸部に輸送する場合、トレーラーを使って陸送したり、貨物駅で一般的な鉄道用コンテナに積み替えたりする必要があった。

日通と神奈川臨海鉄道はこうした課題を克服するため、40ftコンテナをそのまま搭載して鉄道輸送できるようにした。横浜本牧駅は横浜港に至近で、日産としてもモーダルシフトに活用しやすくなっている。

日産はこれまでにも500km以上の長距離輸送区間で鉄道へのモーダルシフトを推し進めてきており、今後は500km未満の中距離輸送区間でもモーダルシフトに挑戦していく考えだ。横浜~栃木間で輸送コンテナの取り扱い数拡大を目指す。

横浜本牧駅で同日開催したモーダルシフト鉄道輸送の出発式で、日通の杉山千尋副社長は「モーダルシフトでトラックドライバーの健康と安全が守られ、長期的なドライバー人材確保につながると考えている。今回の取り組みは特に意義深いものと感じている」とあいさつ。

神奈川臨海鉄道の飯田聡社長は「横浜本牧駅は40ft海上コンテナの取り扱いに適した設備を有している。日産さんには横浜と宇都宮工場の間で利用可能な“物流のベルトコンベア”と捉えていただけると幸いだ」と語った。

日産サプライチェーンマネジメント本部日本物流部の高草誠部長は「物流は大きな変革の時代を迎えている。弊社としても陸海空で物流に関わる皆様方のお知恵を借りながら、最適な輸送方法の検討を進めており、今回の取り組みもその一環。小さな一歩だが(部品輸送によるEV生産継続と脱炭素化促進という)大きな一歩につながっていくのではないかと考えている」と強調した。


関係者によるテープカット


出発を合図する神奈川臨海鉄道の三与木憲隆横浜本牧駅長

(藤原秀行)

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