経営実態不透明に懸念、「事業シナジー期待できない」と説明
兵機海運は11月15日、外航海運事業を手掛ける富洋海運グループが兵機海運へのTOB(株式公開買い付け)を実施していることに関し、取締役全員一致で反対する意向を表明した。株主に対してはTOBに応募せず、既に申し込んだ場合は契約を解除するよう求めている。
富洋海運グループは10月18日、兵機海運株式の保有比率を20%近くまで上げることを目指してTOBを開始すると発表。一方、兵機海運は10月30日、TOBについていったん意見表明を留保すると開示。社外取締役で構成する特別委員会がTOBの是非を検討してきた。
兵機海運は、富洋海運グループが事前に何も通知せず、事前協議の機会もないまま一方的にTOBを開始したと強調。
特別委は11月14日、取締役に協議結果を答申。その内容も踏まえ、富洋海運グループに情報開示を求めたものの提供されず経営実態が明らかになっていないため、上場企業の兵機海運の大株主となって経営に関与するのには重大な懸念があり、取引先や従業員から不安の声が上がっていると指摘している。
さらに、富洋海運グループが求める資本・業務提携を結んでも、同社グループが想定している事業シナジーを期待できないなどと結論付け、取締役全員の意見として反対する意向を決めたと説明している。
富洋海運グループのTOB開始後、大和工業グループが10月31日に兵機海運と資本・業務提携の協議を開始する意向を開示している。
(藤原秀行)