【現地取材】鴻池運輸、業務用空調機の物流効率化や工事負荷低減支援担う千葉・習志野の拠点公開

【現地取材】鴻池運輸、業務用空調機の物流効率化や工事負荷低減支援担う千葉・習志野の拠点公開

部材とまとめて施工現場まで一括配送、建設業界の人手不足もカバー

鴻池運輸は12月5日、千葉県習志野市で業務用空調機の新設や更新に関する業務を専門に手掛ける拠点「テクノロジス幕張」をメディアに公開した。

同拠点は地上4階建て、延床面積は2万4670㎡。同社が約64億円を投じて建設、今年4月に稼働を開始した。

同社は2022年、空調機を建築物に設置する際に物流の効率化や取り付け工事の負荷低減をサポートする独自のサービス「Konoike-Multi Vendor System(コウノイケ マルチベンダー システム、K-MVS)」を開始。都市再開発案件の増大や省エネ機器の需要増などを追い風にして、利用を順調に獲得している。

テクノロジス幕張では空調工事大手の新日本空調と連携してK-MVSを展開しており、首都圏の市場を開拓していきたい考え。


テクノロジス幕張の外観(鴻池運輸提供)

鴻池運輸は1980年代から空調機の搬送や設置、メンテナンスなどを手掛けている。

空調機をオフィスビルなどに取り付ける際、新築の工事現場はスペースが限られ、大量の機器を保管する場所が不足している結果、搬入するトラックが待機を迫られ周辺に交通渋滞を引き起こすなどの問題が起きている。また、建設現場も作業員の不足や高齢化が深刻化しており、空調機搬入・設置の作業は効率化を迫られている。

こうした課題を解決するため、鴻池運輸はK-MVSを開発した。以前は空調機に加えて吊り下げるための機器、空気の流れ道となるダクトなどの部材がメーカーや商社から別々に施工現場へ直接送り込まれ、組み立ては全て現場で行っていた。現場での管理が煩雑にならざるを得なかった。

K-MVSは、鴻池運輸が拠点で空調機や部材を代理店やメーカーなどから一元的に受け入れ、いったん集約して在庫管理するとともに、あらかじめ空調機と必要な部材をフィルムなどで工区ごとに一式にまとめておき、ある程度組み立てておいて、施工現場まで一括配送している。


空調機と部材をひとまとめにして工事の負荷を軽減


空調機や部材の在庫を管理

従来よりもきれいに整頓した状態で納品するため、荷降ろしや検品に要する時間を短縮し、現場到着後すぐに取り付け工事を始められるようになる。鴻池運輸の拠点では梱包も極力減らした上で発送しており、施工現場で段ボールなどを廃棄する手間を大きく省くことが可能。

物流現場では「物流2024年問題」対応として、荷待ち・荷役時間の短縮が強く叫ばれている。大規模なオフィスビルなどでは室内機だけで1つの物件に1000台規模を納入する必要が生じるだけに、鴻池運輸はK-MVSを有効活用することで、こうした社会的要請にも十分対応していけるようになると見込む。


長いダクトを畳んで、かさばらないよう加工


取り付けた状態のモックアップを作成可能

テクノロジス幕張では約700坪のスペースで新日本空調と連携して、加工などの作業を行っている。拠点の稼働開始当初は約500坪で契約したが、空調機取り付けの需要が伸びているため、11月にスペースを拡張したという。施主などの要望に応じて空調機を指定の色に塗り変えたり、防錆の処理をしたりといった業務にも対応している。

鴻池運輸はこれまでテクノロジス幕張に加えて埼玉県草加市、愛知県豊橋市、大阪市の計4拠点で空調機の取り扱いを行っており、需要増大を踏まえて新たに北九州の拠点でもスタートした。K-MVSはこのうちテクノロジス幕張と草加市、大阪市の3拠点で担っている。

テクノロジス幕張内で取材に応じた鴻池運輸生活関連本部の東 泰孝課長はK-MVSの開始後、トライアルも含めて10物件程度で採用されてきたと説明。「空調機の需要は更新も含めて非常に伸びている。着実にニーズに対応できるようにしていきたい」と語った。


巨大な空調機をいったんばらす作業が可能なスペース。10t天井クレーンも装備


塗装が可能なブースで塗装作業も実施。防錆可能などにも対応

(藤原秀行)

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