30年以上のケースも
公正取引委員会は12月5日、東京証券取引所プライム市場に上場している通信アンテナ大手の電気興業に対し、下請け企業に金型などを無償で保管させていたのは下請法で禁じている「不当な経済上の利益の提供要請」に該当するとして、再発防止と保管費用支払いを勧告した。
電気興業は携帯電話基地局用のアンテナなどを手掛けている。下請け企業に部品の製造を依頼、その際金型や樹脂型、治具を貸与してきた。
公取委によると、電気興業は遅くとも2021年9月以降、下請け企業20社に対し、当該の部品を長期間発注していないにも関わらず、金型など計339個を無償で保管させていた。30年以上保管させていたケースもあったという。
同社は22年10月~今年8月の間、下請け企業14社から発注の予定が決まっていない167個の金型などを回収、廃棄した。今後、公取委の指摘を受け、保管費用に相当する金額を支払う見通し。
同社は12月5日、「お取引先様をはじめ関係者の皆様には、ご心配とご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。本勧告を厳粛に受け止め、今後の取引において同様の問題が発生することのないよう、当社取締役会の決議により確認するとともに、勧告内容を全役職員に周知徹底の上、下請法遵守の社内教育の実施、チェック体制を強化するなど、コンプライアンスの強化と再発防止に努めてまいります」と謝罪するコメントを発表した。
(藤原秀行)