国内で初めて自己託送分関連で実施、発電方法など記録・管理
プロロジスは12月17日、再生可能エネルギーの発電方法や生み出した場所を証明する国際的な証書「I-REC」(エネルギー電力証書)の利用を、物流施設で創出した太陽光由来の電力を別の自社施設に送って有効活用する「自己託送事業」で始めたと発表した。
SCSKが運営しているI-REC取引システム「EneTrack(エネトラック)」を利用し、三井住友銀行の支援を得ながらスタートした。
I-RECを発行し、生み出した再生可能エネルギー由来の電力の環境価値を証明しながら自己託送するのは全国で初めてという。
プロロジスの物流施設で活用可能な証書としては、発電時にCO2を出さないという環境価値を切り出して証書化した「非化石証書」に次いで2例目。I-RECで証明した自己託送分の再エネ由来電力が持つ環境価値の一部は、カシオ計算機が購入する。
I-RECはオランダに本部を置く 「I-REC規格財団(The International REC Standard Foundation)」が策定した証書で、世界60カ国以上で発行。I-REC規格財団認定の第三者機関が内容を認証・発行し、発電所、日時、発電量(kWh)の属性情報を記録・管理することで、改ざん不可能な「唯一性」と履歴を追跡できる「追跡性」を備えている。
I-RECの発行を伴った自己託送を行うのは、兵庫県猪名川町で運営中のマルチテナント型物流施設「プロロジスパーク猪名川1」。同施設で発電した太陽光由来の再エネ電力は京都府京田辺市の「プロロジスパーク京田辺」に自己託送し、その環境価値の部分がI-RECの認証を獲得した。
「プロロジスパーク猪名川1」(左)
「プロロジスパーク京田辺」
非化石証書は日本国内で広く使われている一方、I-RECは国際基準に準拠した証書で発電源や属性情報の透明性が高く、グローバル市場での信頼性向上を目指す企業にとっては不可欠な存在となっている。
プロロジスは2040年までに、バリューチェーン全体(スコープ1・2・3)で温室効果ガス排出のネットゼロを目標に設定。今回活用する「プロロジスパーク猪名川1」と「プロロジスパーク京田辺」の太陽光発電設備は、ネットゼロに向けた中間目標として定めている「2025年までに1GWの太陽光発電キャパシティ(蓄電池分を含む)」実現に寄与すると想定している。
(藤原秀行)※いずれもプロロジス提供