帝国データ調査、三菱自含めると3472社に
帝国データバンク(TDB)は12月23日、国内自動車メーカー10社に対して部品などの物やサービスを提供する周辺産業(商流圏)を「自動車産業(サプライチェーン企業)」と定義し、その実態の調査・分析結果を公表した。10社はトヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、マツダ、スズキ、SUBARU、三菱自動車工業、ダイハツ工業、いすゞ自動車、日野自動車。
商流圏は、TDBが特許を取得した「個別企業間の全取引シェアを推計するモデル(NIHACHI)」を用いて、任意の頂点企業における商流上(サプライチェーン)の傘下企業や取引企業において、各社の売上高が頂点企業にどの程度依存しているかを算出(特許取得済)したデータ。
サプライチェーン企業は「個別企業間の全取引シェアを推計するモデル」を用いて、任意の頂点企業に対して売上の1%以上を依存している企業と定義している。Tier3以降は売上高500億円未満の企業を分析対象と設定した。
自動車産業のサプライチェーンに関わっているのは2024年11月時点で推計6万8485社と膨大で、そのうち売上10億円未満が76.5%を占めており、中小企業がサプライチェーンの大半を動かしていることを浮き彫りにした。
国内自動車メーカー10社のサプライチェーン企業(自動車産業)は予想通り、トヨタ自動車が4万680社と最多。取引階層(Tier)別ではトヨタと直接取引を行う「Tier1」が2306社存在し、Tier1と取引を行う「Tier2」は2万2334社、「Tier3以降」は1万6040社に上った。
経営統合の検討開始を同日公表したホンダと日産自動車について見ると、ホンダのサプライチェーン企業(自動車産業)は2万2465社、日産は1万9084社。それぞれ取引階層(Tier)別に見ると、ホンダの「Tier1」は2305社、「Tier2」は1万4045社、「Tier3」は6115社に達した。日産の「Tier1」は1817社、「Tier2」は1万2204社、「Tier3」は5063社だった。
サプライチェーン全体の企業のうち売上高が判明した企業を規模別に分類みると「1億円以上10億円未満」が3万6108社(54.1%)と最も多く、「1億円未満」が1万4952社(22.4%)と続き、「10億円未満」の企業で76.5%を占めた。
自動車メーカー別サプライチェーン企業数
売上規模別企業数
サプライチェーンを構成する企業の業種について「商流圏」を基に可視化した図を見ると、関与する業種間で取引が複雑に絡み合い、産業の広がりがあることが瞭然となった。自動車製造に直接関わる部品や素材、金型などの供給業者に加え、人材派遣、システム開発、工事、運送といった一見関連性が薄そうな業種も重要な役割を果たしていることがうかがえる。
ホンダのサプライチェーン構成業種
日産のサプライチェーン構成業種
ホンダと日産両社のサプライチェーンに登場する企業は9242社、経営統合への合流の可能性がある三菱自動車を含めた3社のサプライチェーンに登場する企業は3472社だった。
9242社のうち売上高が判明した企業を規模別に分類すると、「1億円以上10億円未満」が4507社(50.1%)と最も多く、「1億円未満」が1752社(19.5%)と続き、「10億円未満」の割合は69.6%とサプライチェーン全体と比べるとやや少ない傾向にある。
業種の傾向は「自動車部分品・付属品製造業」が550社でトップ。「金型・同部分品・付属品製造業」が480社、配送を担う「一般貨物自動車運送業」が381社、「工業用プラスチック製品製造業」が379社、「金属プレス製品製造業」が373社と続いた。
サプライチェーン企業全体の業種は運送、ソフトウェア、サービス、工事関連など間接費や販管費に計上される商品・サービスを提供する企業が上位にランクインした。
TDBは「ホンダと日産で重複する企業は製造業が多く、汎用性、技術力、規模、信頼性を有している自動車製造を支える需要な役割を果たしている」と指摘した。
ホンダと日産で重複するサプライチェーン企業売上規模別企業数
サプライチェーン企業 業種別企業数TOP10
(藤原秀行)※いずれもTDB提供