タンクローリー持つ物流企業やケミカルタンカー所有の内航海運にも参加働き掛け
長瀬産業は12月12日、東京都内で、化学品領域に特化した、AIを活用した共同物流マッチングサービスの利用者や活用を検討している企業担当者向けのイベントを開催し、活動内容の報告などを行った。
イベントには88社の117人が参加した。同社は席上、2023年11月の提供開始から現在までに加わったマッチングサービスの会員が70社に上り、参加企業のマッチング成立への期待が高まっていると紹介。
サービス開始以来、初めて実際にマッチングが成立、共同物流を運行することができたと説明した。同サービスは日本パレットレンタル(JPR)のAIを駆使した共同輸送マッチングシステムを活用している。
イベント会場
最初の案件は今年12月、大手化学品メーカーと、北陸エリアを地盤とする運送会社の日本海急送(石川県白山市)の間で成立。同一の10tウィング車を使い、日本海急送が石川から大阪まで、普段から付き合いのある荷主の荷物を運んだ後に、帰り荷としてこの大手化学品メーカーの荷物を積載、富山まで輸送した。
日本海急送では大阪からの帰り荷としてこの大手化学品メーカーの荷物を獲得できたため、積載率向上を果たせた。大手化学品メーカーとしても、「物流2024年問題」を受けてトラック確保が今後さらに厳しくなると見込まれる中、輸送車両を押さえられたのがメリットとなった。
日本海急送の吉田剛取締役富山営業所長は「(共同物流相手の大手化学品メーカーが)輸送のリードタイムを1週間と余裕を持って設定してくださった。倉庫間輸送でドライバーの積み降ろしの荷役がないことも当社にとっては非常にありがたいことだった。今後もマッチングを利用していきたい」と語った。
初めて成立した共同物流の概要(長瀬産業提供)
長瀬産業は今後、タンクローリーを所有している物流企業やケミカルタンカーを持っている内航海運会社に対しても、マッチングサービスへの協力を働き掛け、より共同物流を実現しやすい環境を整備したい考えだ。
併せて、物量が見込まれる東京~大阪間の輸送について、静岡県内の拠点を活用した中継輸送の実現を後押しするコミュニティを2025年2月以降、新たに立ち上げることも公表した。
(藤原秀行)