社内規程超える量、口裏合わせも
国土交通省は12月27日、日本航空(JAL)の機長と副機長から呼気の検査で基準を上回るアルコールが検出されたため国際線の出発が3時間遅れた問題を受け、同日付で航空法に基づき、JALに対して業務改善勧告を出した。再発防止策を取りまとめ、2025年1月24日までに報告するよう指示した。
国交省が立ち入り検査などを実施したところによると、12月1日にオーストラリアのメルボルン発成田行きのJAL774便に乗務する予定だった機長と副機長が、乗務の前日にスパークリングワインをグラスで1杯ずつ飲んだ上、赤ワインもボトルで3本注文した。
航空法に基づくJALの社内規程は、飛行勤務開始の12時間前には体内に残るアルコール量を「純アルコール換算でグラス4杯程度以下に自己制限」するよう定めていたが、この量を上回るアルコール量になっていた。
さらに、機長と副機長は実際よりも少ない飲酒量だったことにするよう口裏合わせをし、会社側には虚偽の説明をしていた。副機長は過去にも乗務前にアルコールが検知されたため、別の乗務員と交代させられていたことがあった。
JALは今年5月にも、別の機長が過度な飲酒に起因して不適切な行動をしたことなどを問題視された国交省から厳重注意を受け、再発防止策を提出していた。国交省は「この再発防止策が十分に機能していたとは言えず、(今回の)事案の発生に至った」と批判した。
JALは12月、機長と副機長を解雇したという。同日、「お客さまやご関係の皆さまの信頼を損ねてしまったことを重く受け止め、全社一丸となり再発防止を図ってまいります」とのコメントを発表した。
(藤原秀行)