25年末で廃止、ポストも撤去
スウェーデンとデンマークで郵便事業を手掛けている政府系のポストノルドは3月6日、デンマーク国内で手紙の配達を2025年末で廃止すると発表した。
同国内で約1500個を配置している郵便ポストは今年6月から順次撤去する。取扱量が大きく減っているため、インターネット通販の成長などで今後も需要が見込める小包の配達に特化する。
欧州の主要メディアが伝えたところによれば、デンマークで400年続いてきた手紙配達の歴史が終わることになるという。ポストノルドが手紙配達から撤退した後は、デンマークでは民間事業者が公的な書類などの配達を担う見通し。
ポストノルドは両国の郵便事業会社が合併して誕生した。現在はスウェーデン政府が株式の6割、デンマーク政府が4割を所有している。スウェーデンでは郵便事業を継続するという。
ポストノルドによれば、デンマークでの手紙の取扱量は2000年から24年にかけて9割以上減少した。24年施行の改正郵便法により、ポストノルドはデンマークで、全国一律でサービスを展開する「ユニバーサルサービス」を続ける義務がなくなったことも、手紙配達廃止の決断を後押しした。
ポストノルドのアンネマリー・ガードショル社長兼CEO(最高経営責任者)は「グループとして、社会の発展と顧客の需要に対応するために事業を常に適応させる必要がある。市場によって若干そのやり方は異なる。軽々に決断したことではなく、需要(の落ち込み)が(決断に至る必要性を)物語っている」とコメントしている。
(藤原秀行)