今後起こりうる事象を予測、プロアクティブな対応講じてリスク低減
Spectee(スペクティ)は4月24日、AIを活用したリアルタイム防災・危機管理サービス「Spectee Pro」(スペクティプロ)を成田国際空港株式会社(NAA)が採用したと発表した。
NAAのオペレーションセンターは、平時と緊急時を問わず成田空港に関する情報を迅速に収集し、関係機関と連携して適切に対応する重要な役割を担っており、空港内に設置してある多数のカメラや関係者からの連絡などを生かしてリスク情報やトラブルを把握している。
近年、空港運用に影響を及ぼす要素が多様化し、オペレーションセンターに求められる役割が増え、対応範囲も広がっているのに伴い、空港周辺、特にアクセス関連情報の重要性が高まっている。SNSはそうした情報を得る上で非常に有効な手段であるものの、手作業で情報を集めたり、内容が正確かどうか確認したりといったように時間と労力を要することが大きな課題だった。
「Spectee Pro」は随時、SNS上で信用できる情報をAIで自動的に判別、収集している点に着目、NAAが導入を決めた。
実際に活用できた例では、昨年に東関東自動車道で車両事故が発生し、2車線がふさがれていると情報が入ったが、言葉だけでは現場の状況を十分に把握できなかったため、「Spectee Pro」で実際の映像を確認したところ、瞬時に状況を把握し、関係各所と迅速に情報を共有することができたという。
NAAは子の事例で、映像や画像による確認は、事象を的確かつ迅速に把握する上で非常に有効だと実感したという。
他にも、空港近隣の鉄道路線情報は従前から関係各所との連携で迅速に得られるが、近年は相互乗り入れの増加に伴い、遠方で発生した事象が空港アクセスに影響を及ぼすケースが増えていることに関し、これまでは間接的な情報を取得することが難しく、どこまで情報を収集すべきかの判断も困難だったが、「Spectee Pro」を活用することで、広範囲な情報を効率的につかめるようになった。
Specteeはすぐ先の事象だけでなく「今後起こり得る事象」を予測し、プロアクティブな対応を取ることで、リスクを最小限にできる可能性があるとみている。
さらに、現場では「Spectee Pro」で得た情報を基にどうすべきかを話し合う機会が増え、メンバーのリスク対応力も向上してきたと指摘している。人員や業務負荷を増やすことなく必要な情報を取得できる上、リスク対応の人材育成にもつながると想定している。
(藤原秀行)