輸送能力不足見込まれる30年度までの対応策が焦点に
政府は5月8日、物流関連施策の中長期的な方向性を示す「総合物流施策大綱」の策定に向け、有識者らが参加した検討会(座長・根本敏則敬愛大学特任教授)の初会合を開いた。
民間のシンクタンクなどから「物流2024年問題」を放置していると30年度に輸送能力が大幅に足りなくなる深刻な事態が起き得るとの予想が出ているのを踏まえ、出席者は今年11月をめどに、30年度までに講じるべき対応を提言として取りまとめることを確認した。
政府は提言を踏まえ、2026年3月末までに新たな総合物流施策大綱を閣議決定したい考え。大綱は定期的に内容を更新しており、今回が7回目。対象期間は2026~30年度。
検討会には大学教授や物流の業界団体幹部、物流企業や荷主企業の担当者、シンクタンク関係者ら31人がメンバーとして名を連ねているほか、国土交通省や厚生労働省、環境省、消費者庁などの担当者もオブザーバーとして加わっている。
初会合では事務局の国交省が、検討に際して考えられる主な視点として「2030年度に想定される輸送力不足への対応」「国際競争力の強化」「災害など有事への備え」の3点を列挙。
人口減少を前提とした輸送力の見直し、サプライチェーン全体の運営担い手確保、アジアの物流需要取り込みのためのサプライチェーンの基盤強化などを並べている。
検討会は6月上旬に開催予定の次回会合で、現行の総合物流施策大綱の進捗度合いを確認する予定。
(藤原秀行)