TOBなど経て株式非公開化へ
豊田自動織機は6月3日、トヨタ自動車グループなどから提案があった買収を受け入れると発表した。
トヨタ自動車系のトヨタ不動産とトヨタ自動車の創業家出身の豊田章男会長が出資して持ち株会社を立ち上げ、傘下の特別目的会社(SPC)が今年12月上旬をめどに、豊田自動織機へのTOB(株式公開買い付け)を開始。TOBは1株当たり1万6300円で実施、最低で約42%の取得を目標にする。
その後に株式併合や少数株主からの株式強制買い取り(スクイーズアウト)を経て株式を非公開化する。最終的にSPCが豊田自動織機の唯一の株主となる体制に移行する。
持ち株会社にはトヨタ自動車が7000億円、トヨタ不動産が1800億円、トヨタ自動車の創業家出身の豊田章男同社会長も10億円をそれぞれ出資する。
豊田自動織機はTOBに賛同し受け入れる一方、株主に対してはそれぞれの判断にゆだねるとの考えを表明した。
豊田自動織機は1926年発足。その後、自動車部門を分離して1937年に誕生したのがトヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)で、豊田自動織機はトヨタの源流と位置付けられている。
6月3日時点でトヨタが豊田自動織機株式の24.66%を所有しており、他のトヨタグループ企業や創業家の豊田章男トヨタ自動車社長の持ち分を合わせると約4割に達する。一方、豊田自動織機はトヨタ株式の約9%を保有している。
近年は機関投資家から豊田自動織機に対し、保有資産を有効活用するよう求める声が上がっていた。豊田自動織機は非公開化で、株式市場の変動に左右されず中長期的に経営改革に取り組める体制を整えたい考えだ。
トヨタ不動産は豊田章男氏が会長を務めており、デンソーやアイシンといったトヨタグループの主要企業の株式も保有している。
(藤原秀行)