矢野経済調査が“脱使い捨てプラ”への対応など指摘
矢野経済研究所は7月8日、食品・飲料・トイレタリー用品・医薬品などに用いられる軟包装の基材フィルムをはじめとした高機能包装材料の2018年における国内市場動向調査「2019年版 高機能包装材料市場の展望と戦略」を発表した。
同年の市場規模(国内出荷と輸出)は前年比1.0%増の77万9185トン。製品領域別ではシーラントフィルムが2.6%増の30万2900トン、バリアフィルムが1.7%増の7万65トンと堅調だったものの、ラベル用シュリンクフィルムは0.7%増の3万4320トン、基材フィルムは0.4%減の37万1900トンと微増ないし微減となった。調査は今年1~3月にかけて実施。軟包装関連企業(フィルムメーカー、コンバーター)への専門研究員による面接取材と文献調査を併用した。
軽量で扱いやすい軟包装は食品用レトルトパウチを中心に幅広い用途で使用されており、とりわけフードロス対応の進展に伴う食品の賞味期限延長、鮮度保持に向けたパウチへのバリア機能付与ニーズからシーラントフィルムやバリアフィルムが成長していると分析。他方、基材フィルムやシュリンクフィルム(ラベル用)では薄肉化により重量ベースの市場規模はほぼ横ばいで推移しているとみる。
同調査では日本のメーカーが軟包装をごみの減量化・減容化につながる環境配慮型の包材としてアピールしてきた点から「世界的規模で使い捨てプラスチックの廃止に向けた取り組み・機運が高まる中、高機能な軟包装はリサイクルが難しいため回収・リサイクルの仕組みも確立されていない」と指摘。
また流通小売業各社の大量発注・大量廃棄に象徴されるフードロス、各業界における人手不足の深刻化から、包装材料ユーザーである食品・飲料・日用品などのメーカー各社や流通小売業各社が今後どのように対処していくかにも言及。「包装材料が調理や洗い物の手間削減につながるなど新たな解を提供できるかが重要なポイント」と展望している。
(鳥羽俊一)
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