テラドローン、イスラム教行事「ハッジ」で初のドローン使った医療物資配送実施

テラドローン、イスラム教行事「ハッジ」で初のドローン使った医療物資配送実施

交通渋滞避け、緊急対応可能に

Terra Drone(テラドローン)は6月10日、サウジアラビアの子会社Terra Drone Arabia(テラドローン・アラビア)を通じて、サウジアラビア保健省および医療物資・機器の物流・調達を担う政府系企業のNUPCOと連携し、イスラム教の宗教行事「ハッジ」で初めてドローンを活用した医療物資配送プロジェクトを実施したと発表した。

ハッジは今年6月4~9日に開催。テラドローン・アラビアはドローンの運用を統括する主担当事業者および技術パートナーとしてプロジェクトに参画した。



使用するドローンの運航管理には、テラドローンのベルギー子会社で運航管理システム(UTM)プロバイダーのUnifly(ユニフライ)が提供するUTMを充てた。

ハッジはイスラム教の五行の一つを占める巡礼で、毎年サウジアラビア・メッカには200万人を超える巡礼者が世界中から集まる。期間中は巡礼者が一部の都市に集中するため、深刻な交通渋滞が発生し、医療物資輸送などの緊急対応に支障を来していた。

プロジェクトではテラドローン・アラビアが、メッカ近郊の聖地のミナとアラファトで、血液や医薬品などの緊急医療物資をドローンで配送する役割を担った。

機体は医薬品の品質保持に不可欠な温度管理が可能な冷却機能付きペイロードボックスを搭載したドローン(DJI Matrice 350 RTK)を採用。従来は地上輸送で1時間半以上要していた輸送をわずか6分未満で実現、迅速な医療対応を可能にした。

ハッジ期間中に人口が集中する都市上空をドローンが安全に飛行するため、各ドローンとUTMを連携させ、目視外で飛行する複数機体の位置情報をリアルタイムで監視、UTM上で管理した。UTMはドローン同士の衝突リスクを事前に察知するアラート機能や、着陸を指示する制御機能も備え、安全かつ効率的な運航の実現に貢献した。


ドローンが医療物資を配送する様子




ドローンの運航状況を示すUTMの画面

テラドローンは今年4月、サウジアラビアの総合エネルギー・化学企業アラムコとMOU(基本合意)を締結した。医療分野にとどまらず、サウジアラビアで様々な重要分野にドローン技術を普及させていくことを目指す。

(藤原秀行)※いずれもテラドローン提供

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事