海運業界の脱炭素に対応
産業用ボイラー大手の三浦工業は6月18日、アンモニアを燃料とする船舶用ボイラーの開発・製造を担う専用設備が松山本社の堀江工場(松山市)内で完成したと発表した。4月に実証開発試験を開始した。
開発は一般財団法人次世代環境船舶開発センターと連携して推進。海運業界が脱炭素を強く求められているのに対応する。
三浦工業は2種類の燃料を燃焼させることが可能なDFバーナーを搭載したボイラーの小型試験機を用いたアンモニア燃焼基礎試験を今年2月に完了。実用化に向けた開発を進めている。アンモニアだけでなく、LNG(液化天然ガス)やメタノールといった低炭素燃料を使用したDFバーナー搭載ボイラーの開発にも積極的に取り組んでいる。
専用設備は1時間当たり約500kgのアンモニアを燃焼させる試験が可能。アンモニアを使用する際には、未燃のアンモニアの排出(アンモニアスリップ)や燃焼過程で出るNOx(窒素酸化物)、温暖化の影響度合いが約300倍もあるN₂O(亜酸化窒素)の排出を抑制する必要があるため、排気ガスを処理する設備を含め、安全に配慮した機構を採用している。燃焼排ガス成分にこうした生成物を含まないバーナーの開発を目指す。
アンモニア燃焼ボイラーは船舶の運転状況に合わせてアンモニアや重油を燃料として蒸気供給する場合や、N₂(不活性ガス)を含むBOG(低温液体を輸送・貯蔵する場合に、貯蔵タンク外部からの自然入熱により気化するガス)の処理を目的とした運転が必要。船上での運転を想定した検証試験が可能で、製品化した後の製造試運転も考慮した拡張性に優れた設備にしている。
(左から)アンモニアボンベ架台、アンモニア気化器・希釈槽、アンモニア除害設備(プレスリリースより引用)
(藤原秀行)