成田空港会社・藤井新社長、機能強化する「第2の開港」着実に実施を表明

成田空港会社・藤井新社長、機能強化する「第2の開港」着実に実施を表明

就任後初会見、滑走路延伸・新設の用地買収で地元と連携に意欲

成田国際空港会社(NAA)の藤井直樹新社長は6月20日、成田空港のNAA本社内で同日の就任後、初の記者会見に臨んだ。

藤井氏は「成田空港の発展のために全力を尽くす覚悟だ。(旅客と貨物の両面で空港の機能を拡充する)『第2の開港』を着実に実施していきたい」との決意を表明。滑走路の延伸・新設のための用地買収など、同空港が抱える課題の解決に注力する姿勢を強調した。

 
 

藤井氏は旧運輸省(現国土交通省)出身。首都圏空港課長、内閣官房内閣参事官、国交省自動車局長、鉄道局長、官房長、国土交通審議官などを経て2022年6月から23年7月まで事務次官を務めた。航空行政に携わった経験を持つ。前社長の田村明比古氏(元国交省航空局長)から2代続けて国交省元幹部がトップに就いた。


会見する藤井氏(右)と前社長の田村氏

藤井氏は会見で、当面重視するポイントとして「空港と地域の共生・共栄の継続と発展」「安全の確保」「航空需要の増加多様化への的確な対応」の3点を挙げ、施設老朽化への対応や成田空港へアクセスする鉄道網の拡充、空港内業務の人手不足対策などを着実に進めていきたいとの考えを示した。

成田空港の機能強化に不可欠な滑走路の延伸・新設の前提となる用地買収が想定より遅れていることについては「しっかり必要性をご理解いただき、向き合った上で、話し合いで買収が進むことが基本だと考えている。機能強化は一朝一夕でできるものではない」と説明。地元自治体などとの連携を強化していくことに意欲を見せた。

貨物機能の強化に関しては「しっかりとこれまでの取り組みを踏まえた上で考えないといけない」と述べ、国際貨物便の誘致などを継続して図っていく必要性を訴えた。「物流2024年問題」対応の一環として、輸入貨物を引き取るトラックの待ち時間短縮へ予約システムを採用していることに対しても、待機時間の短縮につなげていきたいとの思いを語った。

会見に同席した田村前社長は「藤井氏は最も信頼する後輩であり、人格と識見、能力に優れ、課題へ多面的に対応していただける抱負な経験や知識を持ち、非常に重要な時期を迎えているNAAのかじとりをバトンタッチさせてもらえるのは大変心強く感じている」とエールを送った。田村氏はNAAの相談役に就任した。

 
 

(藤原秀行)

経営/業界動向カテゴリの最新記事