JR貨物の19年度業績予想は売上高1656億円

JR貨物の19年度業績予想は売上高1656億円

設備投資の6割を物流施設開発や省力化に充当

JR貨物が3月29日に発表した「平成31年度 事業計画」によると、2019年度業績は営業収益(売上高)1656億円、営業利益112億円、経常利益97億円、純利益68億円の増収増益を見込んでいる。また新中期経営計画の1年目に当たることから、より一層の成長と発展に向けてさまざま具体的施策の実行にスピード感を持って臨む構え。

前期は西日本豪雨などの被害・影響による鉄道事業の大幅な営業損失が業績の下振れ要因となった。今期は自然災害からの着実な回復、物流施設「東京レールゲート」をはじめとする総合物流事業への進化に向けた取り組みなどを通じて黒字化と事業基盤の拡大を図る。設備投資は前期から115億円増の334億円を計画し、このうち198億円を総合物流関係、業務創造推進プロジェクト関係、新規開発の“成長・戦略投資”に振り分ける方針だ。

戦略面では鉄道事業で全国に広がる拠点、ネットワークを生かした商品開発と営業活動を推進。需要が旺盛な九州向け輸送の能力増強(関東~関西間列車の九州延伸)、関西~九州間の輸送力設定による利便性向上、基本運賃改定による良質なサービスの継続的提供、利用運送事業者や顧客への収支改善方針の開示による改善施策の着実な実行、定温輸送ニーズへの対応や活魚輸送など新規取り組みの拡充、共同輸送の提案・コーディネート推進を打ち出している。

駅設備拡充・代替輸送・船舶活用でBCP強化

また多発・大型化する自然災害へのBCP(事業継続計画)として、静岡貨物駅におけるコンテナホーム拡幅の設計着手および他の貨物駅で設備拡充を検討、代替輸送力と輸送手配のシミュレーションの精緻化、発災時の迅速な情報配信に向けた仕組みづくり、船舶活用の検討深度化を列挙。

昨年の自然災害により山陽線が長期にわたって不通となったことに対しては、貨物鉄道を利用するメーカーや物流企業などから“災害に強い弾力的なオペレーション”を求める声が多数聞かれただけに、BCP対策の積極的・継続的な取り組みが期待されよう。

安定輸送の確保では老朽車両・設備の計画的な修繕と更新に加え、荷役機器の配備と取り替え周期の精査を実施。コンテナ輸送の品質向上ではキャンペーンの継続実施と取り組み施策のブラッシュアップ、私有コンテナ所有者と連携した危険品漏えいや申し込み品目の相違防止に向けた対策を行う。

輸送体制の刷新と効率的な業務運営の推進では携帯アプリによる駅作業予約システムの開発、列車編成通知書作成のシステム化、空コンテナ操配計画作成の自動化、車両修繕システム費管理システムの開発をはじめとする「システム化による仕事の仕組みの改善」を中心に、駅業務や職員、各種設備の体制・仕組み・機能の見直しを進める。このほか新たな柱として海外展開を挙げており、インドで日系企業による完成車輸送事業への参画などを検討している。

「東京レールゲート」に続きPMやBMへの参入検討

総合物流事業への取り組みでは鉄道輸送サービスの提供にとどまらず、顧客の物流効率化に向けて課題やニーズに基づいたサービスを組み合わせた最適な物流を提案。保管機能を有した「駅チカ倉庫」、トラックと鉄道をスムーズにつなぐ「積替ステーション」を貨物駅近隣や構内の設置を推進するほか、鉄道・保管・荷役などを組み合わせた物流ソリューションも想定している。

このうち物流施設では2020年2月完成予定の「東京レールゲートWEST」、22年8月完成予定の「東京レールゲートEAST」とWESTのテナントリーシングを主軸に、札幌貨物ターミナル駅をはじめとする他の貨物駅構内でもレールゲートの開発可能性を調査する。さらに物流施設のプロパティマネジメント(PM)やビルマネジメント(BM)といった開発以外の業務への参入も視野に入れる。

このほか人材の高齢化や人手不足への対応には省力化装置、ICTなどの先端技術を導入・活用する。貨物駅の省力化では駅構内トラックの無人運転、フォークリフトの運転操作支援、入れ替え機関車の遠隔操作、次世代コンテナ貨車の導入では新たな緊締装置の検討・開発、さらにIoT(モノのインターネット)やビッグデータを用いた車両状態監視システムの開発も進めていくとしている。

(鳥羽俊一)

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