JR貨物・T2・日通、第1弾は北海道~大阪間で雪印メグミルク商品取り扱い
JR貨物とT2は6月23日、東京都荒川区南千住のJR貨物関東支社隅田川駅で記者会見し、両社と日本通運が組み、国内で初めて実施する自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた輸送手法「モーダルコンビネーション」の概要を説明した。
第1弾として、6月20~24日にかけて北海道~大阪間で雪印メグミルクの粉ミルクを運ぶ実証を行い、途中の幹線輸送を自動運転トラックが担い、効率的に輸送できるかどうかやリードタイムにどの程度を要するかなどを検証。災害などで鉄道の一部区間が使えない際に自動運転トラックで代替することを想定している。
積み替え作業の円滑化のため、鉄道とT2の自動運転トラックそれぞれで使える31ftタイプの共用コンテナを共同で開発した。T2の自動運転トラックはスワップボディ しており、今回の実証でも活用して業務効率化の効果を見極める。
会見したJR貨物の土井広治取締役兼常務執行役員鉄道ロジスティクス本部長は「新しい輸送モデルの構築を目指す中でどういう課題が出てくるか見極めていきたい。仮に東京~大阪間で何かあって鉄道が使えない場合に、T2さんに代行輸送をお願いするという解になる」と説明。
T2の森本成城CEO(最高経営責任者)は「物流危機は既に始まりだしているので、1台でも早く自動運転トラック輸送を実現したい」と語った。
T2の自動運転トラックに搭載した31ftタイプの共用コンテナ
会見するJR貨物・土井氏(左)とT2・森本氏
実証は北海道の雪印メグミルク物流拠点から札幌貨物ターミナル駅まで日通がトラックで商品を届けた後、JR貨物が同駅~隅田川駅(東京都)間を鉄道で輸送。隅田川駅でT2の自動運転トラックにコンテナを積み替え、高速道路を経由して百済貨物ターミナル駅(大阪府)まで運ぶ。自動運転は高速道路で実施し、その後は雪印メグミルクの物流拠点(大阪府)まで再び日通のトラックが輸送を担う。
自動運転は、ドライバーが同乗してトラブルが起きた際はすぐに運転を代わることができる「レベル2」で行う。
T2の自動運転トラックに31ftタイプの共用コンテナを積み込む作業の様子
JR貨物は昨年2月、T2に出資した。両社で鉄道輸送と自動運転トラックなどを組み合わせ、将来はパレット単位で荷物を積み合わせ、貨物駅隣接・近隣型の物流施設(レールゲート)で自動積み替え・保管を担うなど、「積み替え・横持ちゼロ」の貨物鉄道システムに進化させていくことも視野に入れている。
T2は今年7月にドライバーが同乗してトラブルが起きた際はすぐに運転を代わることができる「レベル2」で自動運転トラックによる輸送事業を始め、27年10月には「レベル4」(特定の条件下での完全自動運転)に移行することを計画している。今回の実証結果も踏まえて事業展開を検討していく考えだ。
(藤原秀行)