内閣府の景気基調判断、4年10カ月ぶり「悪化」に

内閣府の景気基調判断、4年10カ月ぶり「悪化」に

5月の「一致指数」が2カ月ぶり低下、先行き不透明感強まる

内閣府が7月7日公表した5月の景気動向指数(速報値、2020年=100)によると、景気の現状を示す「一致指数」は4月から0.1ポイント低下し115.9となり、2カ月ぶりに前月から下がった。

内閣府は同指数の基調判断を4月までの「下げ止まりを示している」から「悪化を示している」に引き下げた。下方修正したのは2024年2月以来、1年3カ月ぶりで、基調判断で「悪化」の表現を打ち出したのは、新型コロナウイルスが猛威を振るっていた20年7月から4年10カ月ぶり。

 
 

一致指数は生産や消費、雇用に関する10種類の経済指標を基に算出。その上で、内閣府が3カ月平均の動きを見て、機械的に「改善」や「悪化」などの判断を示している。

一致指数を基にした景気の基調判断が、政府全体の景気判断にすぐさま直結するわけではないが、過去の動向を見ると、内閣府が「悪化」の判断を示した場合、景気後退局面と重なっていたことが多い。

ただ、今回は10指標のうち商業販売や求人などの5指標が4月から悪化した一方、生産に関する指数は3月に起きたトヨタ自動車系列の自動車部品メーカー工場で爆発火災事故があった影響からの持ち直しの動きもあって上向くなど、指標によって動きが分かれている。

また、2~3カ月後の景気の動きを展望する先行指数は4月から1.1ポイント上がって105.3で、4カ月ぶりに上昇した。

トランプ米大統領の関税引き上げの影響が懸念される中、景気の先行きに不透明感が強まっていることを示唆していると言えそうだ。

(藤原秀行)

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