国交省が倉庫の基準適合“事前確認”制度創設

国交省が倉庫の基準適合“事前確認”制度創設

所要手続き簡素化し営業拡大迅速化を後押し

 国土交通省はこのほど、倉庫業法の施行規則と関連の告示を一部改正し、新たに「基準適合確認制度」を開始した。

 倉庫業者が自社所有分以外に別の業者から倉庫スペースを借りて営業拡大する際の手続きを簡素化したことが柱。倉庫業者が顧客の短期賃借ニーズ増加といった動きを踏まえ、柔軟に事業規模を変えられるようにし、業界の活性化を図るのが狙いだ。

 倉庫業者が外部の倉庫を新たに賃借して事業を展開したり、自家用の非営業倉庫を営業倉庫として活用したりする場合、事前に使用目的の変更などを書面で国交省に申請、再登録する必要がある。

 以前は一連の手続きが完了し、変更が認められるまで2カ月前後を要しているため、倉庫業界からよりスピーディーに事業を展開できるよう対処を望む声が同省に寄せられており、国交省は現行制度の見直しを決定。今年6月29日に新制度をスタートした。

 倉庫事業者が外部の新築倉庫を借りて事業を行う際、従来は倉庫が完成した後に賃貸借契約を結んだ時点で、倉庫業の登録申請を行うとの流れだった。

 新制度は契約締結前に倉庫の所有者が、設備類が法定基準に適合しているかを事前に確認できるため、契約を結んでから実際の業務を始めるまでの期間短縮につながる。

 既存の倉庫を利用する際も、法定の設備基準適合を確認済みで、その後特段変更がなされていなければ、必要な書類の一部を省略可能としている。

 国交省は新制度創設と併せ、施設設備基準も一部見直した。旧来は野積倉庫や水面倉庫に防犯の観点から設置を求めてきた照明装置に関し、他の警備機器で代替することを認めている。照明が周辺住民に及ぼす影響を考慮した。

 また、危険物倉庫での保管を義務付けてきた物のうち、消防法上許可を必要としない指定数量未満の危険物や、高圧ガス保安法の適用除外対象とされていた物に関しては、一類倉庫で保管できるように変更した。

(藤原秀行)

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