栗林商船、モザンビークで非可食作物「ジャトロファ」由来のバイオ燃料栽培・流通目指す活動に参加

栗林商船、モザンビークで非可食作物「ジャトロファ」由来のバイオ燃料栽培・流通目指す活動に参加

サプライチェーン構築で海運の脱炭素化に貢献目指す、現地の農業生産向上も

栗林商船は7月8日、日本植物燃料が中心となって展開しているバイオ燃料のサプライチェーン構築に関する事業化調査に参加すると発表した。7月1日付で両社による基本合意書を締結した。

パリ協定の締結以降、持続可能な航空燃料(SAF)をはじめとするバイオ燃料の需要が急速に拡大しており、今年1月に発効したEU(欧州連合)の「FuelEU Maritime規制」により、海事・海運業界でも温室効果ガス削減と脱炭素が喫緊の課題となっている中、内航海運・外航海運の分野を問わず環境負荷低減に貢献していくことを目指す。

 
 


(栗林商船が日本植物燃料資料より抜粋)

同事業は、モザンビーク国内で落葉低木「ジャトロファ」を使い、フェンスとしての植樹や荒地の再植林を進めることで地域の緑化を促すことを念頭に置いている。併せて、ジャトロファの栽培、収穫、搾油および完成品としてのバイオ燃料の保管まで、同国内で一気通貫の体制構築を計画している。

ジャトロファは、乾燥した過酷な環境下でも育成可能な耐乾性の高い植物で、元来は食用に向かない非可食作物のため、食料生産と競合することがなく栽培が可能で、豊富な油分を含むことから持続可能なバイオ燃料原料として注目されている。

現地で製造したバイオ燃料は、日本への輸送をはじめ、モザンビーク国内外への流通・販売を想定しており、安定供給が可能なサプライチェーンの構築を図る。

さらに、ジャトロファの剪定枝や搾油残渣をバイオ炭として活用することで土壌改良を促し、農業生産の向上につなげたい考え。

一連の活動を通して、半乾燥地の緑化と持続可能な農業基盤を整備し地域の環境保全に貢献していくことを目指す。段階的な事業拡大に伴い、現地での雇用や働きがいのある仕事を増やし、多くの農家と栽培契約を結ぶことで安定した収入源を確保し、人々の生活基盤を支えられると見込む。

 
 

(藤原秀行)

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