三菱商事やSkyDriveなど出身の羽賀氏がCEO就任
大型トラック向け自動運転ソリューションの開発を手掛けるスタートアップのロボトラック(東京都中央区新川)は7月14日、ベンチャーキャピタル(VC)のグロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家として、オリックスなどからプレシリーズA資金調達ラウンドで、約12億円を調達したと発表した。技術の実用化に向け、開発を加速したい考え。
創業者の吴楠(Nan Wu)氏は早稲田大学で自動運転の技術研究に従事した後、同大で研究助手、主任研究員(客員准教授)を歴任。2016年に米国で自動運転技術開発のスタートアップTu Simple(トゥー・シンプル)の共同創業者として世界初の「レベル4」自動運転(特定条件下での完全自動運転)大型トラックの開発を主導し、米ナスダック上場まで経験した。
新たに日本で2024年4月、ロボトラックを立ち上げた。独自に開発するAIアルゴリズムやテクノロジーを駆使し、経済産業省の「モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援事業」に採択され、新東名高速道路の駿河湾沼津SA~浜松SA間で100kmのレベル4相当の走行テストに成功した。
今後は2025年度に東京~名古屋間、26年度に東京~大阪間でレベル4相当の実証実験を行った後、28年度に自社製品の上市を計画している。「物流2024年問題」やトラックドライバー不足に直面している物流業界の業務効率化を支援したい考え。
ロボトラックは今年3月、東京大学系の東大IPC、PKSHA Algorithm Fund、AIS CapitalのVC3社からシードラウンドで約3億円の資金調達を完了した。
さらに、グロービスやオリックス、Archetype Ventures・Mizuho Leaguer Investment、ON&BOARD、イクヨ・富岡仁(TelexistenceCEO=最高経営責任者)を引き受け先とした新規投資家からの調達、東大IPC、PKSHA Algorithm Fund、AIS Capitalを引き受け先とした既存投資家からの追加調達で12億円を確保した。
今回新たに出資を受けたオリックスとは、子会社のオリックス自動車も含め、開発するレベル4物流自動運転システムの事業化に向けたパートナーとして展開していく方針。
ロボトラックは併せて、6月に羽賀雄介氏が共同創業者としてCEOに就任したことも公表した。
羽賀氏は慶應義塾大学を卒業後、三菱商事に入社。いすゞ自動車の東南アジア向け営業・マーケティング業務に従事し、帰国後に宇宙航空事業で中央省庁向け新規事業開発、大手企業とのJV(ジョイントベンチャー)設立、スタートアップ投資案件などに携わってきた。
その後、SkyDriveでCOO(最高執行責任者)として「空飛ぶクルマ」やドローンに関するビジネス全般をリードしてきた。
羽賀氏(いずれもロボトラック提供)
(藤原秀行)