【現地取材】停電時に倉庫の電動フォークから人工呼吸器などの医療機器へ給電実現目指す

【現地取材】停電時に倉庫の電動フォークから人工呼吸器などの医療機器へ給電実現目指す

「電源ドナー協会」発足会見、物流事業者に協力呼び掛け

災害などで長期間停電する事態に備え、倉庫で稼働している電動フォークリフトのバッテリーなどを非常用電源として活用し、医療機器のバッテリーを充電して使い続けられるようにして難病患者らをサポートすることを目指す「一般社団法人電源ドナー協会」は7月14日、東京都内で記者会見し、物流事業者らに協力を呼び掛けた。

同協会は6月25日付で発足。バッテリー関連事業を展開しているイーコース(東京都中央区入船)の菊竹玉記社長が代表理事を務め、三信倉庫(東京都中央区京橋)の大竹英明社長、ダイワコーポレーションの曽根和光社長、協和運輸倉庫(仙台市)の髙橋大輔社長が理事に就任している。蓄電池メーカーのエナジーウィズ(東京都千代田区神田練塀町)も協力している。



同協会はボランティアで協力してもらえる物流事業者の倉庫を給電拠点として運営する。長期間の停電が起きた際は普段倉庫で稼働している電動フォークリフトやディーゼルトラックから電気を供給し、人工呼吸器などの医療機器のバッテリーを充電できるよう手助けする。ディーゼルトラックの場合は電力変換用のインバーターを使う。

イーコースは電動フォークリフトのバッテリーの状態を遠隔で監視することが可能なIoTサービス「点検なび」を運営しており、同サービスで把握したバッテリー充電電源のうち運営者が公開に合意した場所を給電スポットとして検索できるスマートフォン向けアプリを展開している。同協会は患者や医療関係者らがアプリを使って迅速に給電場所を把握できるようにするとともに、協力してくれる物流事業者を増やし、多くの場所を給電スポットに使えるようにすることを目指している。

また、同じくイーコースが手掛けている、産業用電池をレンタルで提供する「デコでんち」を倉庫で使ってもらい、その電力を医療機器向けに提供することも想定している。

会見した菊竹代表理事は「災害などで停電になったらどうしようと、医療関係者や患者の皆さんは非常に不安に思っておられる。停電はまさにALS(筋萎縮性側索硬化症)の方や 人工透析を受けられている方のように、難病と闘っておられる患者の皆さんの命取りになってしまう。そうしたことがないよう、さらに電源ドナー協会の活動について情報発信をしていかなければならない」と強調。

同席したダイワコーポレーションの曽根社長は「倉庫協会のネットワークを使い、東京都に近いところから(給電拠点を)広げていきたい。患者さんがいらっしゃる限り、できるだけのスピード感を持って進めたい」と意欲を見せた。


会見後の撮影に応じる(左から)曽根氏、大竹氏、菊竹氏、髙橋氏



(藤原秀行)

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