日通が京都~大阪間で平日に毎日運行、210kmと国内最長
村田製作所とローム、日本通運の3社は7月17日、EV(電気自動車)トラックを活用した電子部品などの共同輸送を関西エリアで同日開始したと発表した。併せて、大阪市内の村田製作所の物流拠点内で同日、EVトラックからの荷物取り降ろしの様子などをメディアに公開した。
3社によると、電子部品業界でEVトラックを使った共同輸送に踏み切るのは国内で初めて。3社が組み、「物流2024年問題」や脱炭素などの課題に対応するのが狙い。村田製作所とロームが共同輸送を実施すること自体、初という。
村田製作所とロームで合わせて輸送時の温室効果ガスを年間約30t減らせると見込む。
活用するEVトラックは三菱ふそうトラック・バス製「eキャンター」の2tウイング車。平日の毎日、まずロームの京都の物流拠点でロームの輸出品を積んだ後、村田製作所の京都の物流拠点で同社の資材品を混載し、村田製作所の大阪市内の物流拠点で資材品を降ろして村田製作所の輸出品と入れ替え、関西国際空港に届けた後、ロームの輸入品と村田製作所の輸入品を再び積み込んで京都に戻る。村田製作所の輸出品と輸入品は今後順次取り扱いを始める。
共同輸送の概要(日通プレスリリースより引用)
共同輸送に使うEVトラック
往復の走行距離は計210kmで、3社によれば、EVトラックによる輸送距離としては国内で最長という。日通のドライバーが1人で運転し、ルートの途中2カ所で充電する。EVトラックはT11型の標準パレット4枚を積載することが可能で、村田製作所とロームで適宜割り当てる。
当初、村田製作所は梱包用資材などを、ロームは製品のサンプルなどをそれぞれ運ぶ。村田製作所は今後、取り扱う品目を広げることも想定している。
村田製作所とロームはともに京都に本拠を置き、製品の輸送ルートが近いことなどから、今年2月に村田製作所がロームに共同輸送を打診、テスト走行を経て実現した。
左側のパレット2枚分がローム、右側が村田製作所の荷物
フォークリフトで取り下ろす作業の様子
EVトラックによる共同輸送を進める上で、渋滞などを考慮すると走行中に2回の急速充電スポットを確保しておく必要があると想定、3社で走行ルート上にある急速充電ステーションに協力を求め、2カ所を確保することができた。
村田製作所の大阪市内の物流拠点で同日、記者会見した村田製作所の寺村晃一執行役員モノづくり統括部長は「ロームさんとは環境貢献に取り組む意識が共通している。今回の協働輸送を1つのきっかけにして、これからどんどん(共同の)取り組みを増やしていきたい」と説明。
ロームの堀江佳孝SCM本部長は「村田さんから社会課題解決のヒントをいただき、ぜひ一緒にやらせてほしいと思った。今の輸送ルートを活用しているのでさほど移行に障害はない。新しい形で協業できたと思っている」と述べた。
日通の岡本俊一執行役員(関西アカウントセールス部担当)は「EVで共同輸送をするにはまだまだ(トラックが使える急速充電スポットが少なく)ハードルが高い。村田製作所さんとロームさんのご協力でルート編成し、実現に至った」と語った。
EVトラックの前で撮影に応じる(左から)日通・岡本氏、ローム・堀江氏、村田製作所・寺村氏
(藤原秀行)