「つながるトラック」で物流業界の課題救うと意義強調

「つながるトラック」で物流業界の課題救うと意義強調

UDトラックスがメディア向けセミナー開催

UDトラックスは7月11日、東京都内のNTTドコモ本社内で「コネクティビティが変革する物流の未来―つながるトラックが生み出すスマートロジスティクスの可能性を探る―」と題するメディア向けセミナーを開催した。

UDトラックスの担当者は、インターネットに接続し、車両に搭載した専用機器を通じて現在地や運転状況などの情報を収集、管理できるコネクティビティー(相互接続性)を備えた「つながるトラック」の利用促進に注力している現状を紹介。人手不足に悩む物流業界を救う上で非常に重要な存在との考えを強調し、さらに取り組みを加速していく構えを見せた。

同席したNTTドコモの担当者も次世代の高速通信規格「5G」を生かし、つながるトラックの利用拡大を支えていく決意を示した。

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日本は「25年に15万台」目指す

セミナーの冒頭、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)で自動運転などに関する委員会の委員を務めている国際自動車ジャーナリストの清水和夫氏が、SIPで現在、最先端技術を生かして物流の生産性向上などを図る「スマート物流」が重要なテーマの一角を占めていることに言及。東日本大震災の際、民間企業の持つ自動車の走行履歴などのデータが、無事に通行できるルートの割り出しなどで役立ったことに触れながら、コネクティビティーの重要性を語った。


SIPの動向などを話す清水氏

UDトラックスでプロセス&ソリューション部の統括責任者を務めるサティシュ・ラジュクマール氏は「物流は社会の血流であり、持続可能な社会には不可欠なもの。つながるトラックによる物流革命はさまざまな社会問題や企業が抱える課題を解決する。当社は積極的に物流の革新を促していく。パートナー企業と連携しながら交通安全や環境問題、高齢化、EC拡大と物流の効率化といった課題に取り組む」と強調。

運行管理者がトラックの多様な情報をネット経由で収集できるコネクティビティーを活用することで、運送の稼働率や安全性向上などの効果を生み出せるとの見解を表明。ボルボグループとして全世界で100万台のつながるトラックを展開していると紹介し、そうした技術やノウハウを市場のニーズに合わせて柔軟に適用できると語った。


つながるトラックについて語るラジュクマール氏

コネクテッドソリューション部のシェティ・ライ・チャンドリカ部長は、コネクティビティーを駆使することで、ドライバーがどうすればより安全な運転が可能になるかリポートを作成するといったソリューションを提供できると指摘。AI(人工知能)との連携でよりソリューションのレベルを高められる可能性に言及した。


ソリューションの多様性を語るチャンドリカ氏

同社コネクテッドソリューション部ビジネスアナリストの森弘一氏は、つながるトラックを活用して展開しているサービスの現状を報告。日本では約6万台のつながるトラックを25年には15万台まで増やす計画を進めていることを明らかにした。

具体的なサービスとして、故障につながりそうな箇所を事前に察知して早期に対応する「予防整備」に役立てたり、燃費向上をサポートしたりしていると説明。海外でも車両位置情報の取得による輸送効率化などを図っていることに触れた。


日本の取り組み状況などを語る森氏

セミナーに招待されたNTTドコモの中村武宏執行役員5Gイノベーション推進室長は、今年の9月20日に5Gのプレサービスを開始し、さまざまなケースを試す計画を発表。「いろんな業界の方々が5Gに興味を持たれている。都市部だけでなく地方の方々も5Gをどう使うかを広く検討されている」と述べ、5Gの高度な情報通信技術を利用して物流分野の改革を後押ししていくことに強い意欲を示した。


5G実用化へ意欲を示す中村氏

最後に参加者でパネルディスカッションを実施。コネクティビティーというイノベーションを活用して地方活性化に貢献できるとの見方が示されるなど、つながるトラックの存在意義を強くPRした。


パネルディスカッションの模様

(本文・藤原秀行、写真・鳥羽俊一)

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