【物流で光るCSR】船底の海洋生物から薬の素を見つけよう!

【物流で光るCSR】船底の海洋生物から薬の素を見つけよう!

中央大学と日本郵船が共同研究開始

中央大学と日本郵船は8月4日、海洋生物からの天然物探索に関する共同研究を開始したと発表した。船底に付着した海洋生物から、新規創薬資源をはじめとする人類に役立つ未知の物質を発見し、その作用を明らかにすることを目的に掲げている。

両者は、アオカビから世界初の抗生物質ペニシリンが見いだされたことを例に挙げ、自然界の生物が作り出す物質(天然物)には、画期的な新薬やその開発のヒントとなる物質が存在していると指摘。特に海洋生物は、人類に有用な未知の天然物の発見が期待される重要な資源とみている。

中央大学理工学部応用化学科の生物有機化学研究室(岩崎研究室)と日本郵船は、2023年から試行的に、船底に付着した海洋生物を採集し、分析する活動を進めている。既に未知の天然物を発見し、その作用を東京大学大学院医学系研究科の野崎智義教授のグループと解析した結果、“顧みられない熱帯病”の一つとして知られるアフリカ睡眠病(サハラ以南のアフリカに見られる、主にツェツェバエを媒介として感染する疾患。睡眠サイクルの障害が大きな特徴で、重症化すると死に至る危険性が高い)の病原生物「ローデシアトリパノソーマ」の増殖阻害に効果を示すことが分かったという。

この成果は今年3月開催の日本化学会春季年会で岩崎研究室所属学生が口頭発表した。

これまでの試験的な活動で得られた成果を踏まえ、さらに研究を加速させるために、中央大学と日本郵船は契約を結び、5年間の共同研究に踏み切った。中央大学は岩崎研究室で海洋生物の採集と未知の天然物の探索および有用性の評価を担い、日本郵船は主に海洋生物の採集環境を提供する。

(藤原秀行)※いずれも両者提供

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