テラドローン、ドイツ最大級のタンク貯蔵ターミナルで独自開発ドローン用いた非破壊検査実施

テラドローン、ドイツ最大級のタンク貯蔵ターミナルで独自開発ドローン用いた非破壊検査実施

危険な作業不要に、迅速化で生産性も向上

Terra Drone(テラドローン)は8月20日、ドイツのEvos Hamburg(EVOSハンブルク)が運営する同国最大級のタンクターミナルで、ガス・石油貯蔵タンクを含む32基を対象としたドローンによる非破壊検査を実施したと発表した。

検査はオランダに拠点を置くテラドローン子会社のTerra Inspectioneering(テラインスペクショナリング)が担当。自社開発のUT(超音波検査)が可能なドローンを投入した。

これまでタンク内部の点検は、足場やはしごを設置し、作業員が実際に内部へ立ち入って目視で行う方法が一般的だったが、作業員の安全リスクやタンク内壁を損傷するリスクが伴うほか、足場の設置・撤去に多くの時間とコストを要していた。さらに、点検中はタンクの稼働を一時停止する必要があり、生産性の低下も避けられなかった。

そこでテラドローンは従来の点検作業を効率化し、安全性を確保するドローンソリューションを提供。狭所や暗所でも安定飛行が可能なUTドローンを使い、作業員が危険な場所に入らず迅速に点検できるようにしている。

足場の設置・撤去が不要となり、旧来は数週間から1か月を要していた点検が最短1日で完了できるようになったという。

テラドローンは今後、Evosハンブルクが運営するタンクでのドローン点検の拡大に対応するため、用途や施設の特性に応じた柔軟なソリューションの提供体制を強化する方針。並行して、ドイツをはじめとする欧州地域で、産業インフラの点検分野におけるドローン技術の高度化と安全性の向上にも取り組む。

EVOSハンブルクは、欧州5カ国で8つのターミナルを展開し、液体バルク製品の貯蔵・物流インフラを手がけるグループ「EVOS」の一員。ハンブルク港に最大級の拠点を構えている。

同施設はバイオ燃料、化学品、船舶用燃料、潤滑油を扱っているが、高い労働コストと時間が必要な従来の人手による点検作業の非効率性を解消したいと考えていた。

テラドローンは、2022年から自社開発の「Terra UT ドローン」を活用し、Evosハンブルクが保有する各種タンクの点検を継続的に実施してきた。テラドローンはEvosハンブルクより、国内外で培ってきた豊富なUTドローンによる点検実績と、石油・化学製品を貯蔵するドイツ国内の大型タンクに適用される規格「EEMUA159」に準拠した高精度な点検技術に対して評価を得ているという。

今回はTerra UTドローンを用いて、目視点検および超音波による板厚計測を実施。Terra UTドローンはタンク内部の損傷や腐食を可視化できる超音波探傷機能を備えており、表面を傷付けることなく高精度に測定できる。また、超音波の伝播に必要なカプラント(接触触媒ジェル)を飛行中に自動供給できるディスペンサーを搭載し、長時間かつ安定した点検を実現している。

EVOSハンブルクが保有するタンクは合計150基に上るが、点検時はタンクの稼働を一時的に停止する必要があるため、全部を一度に点検することはできない。テラドローンは今回、全体の約5分の1に相当する32基を対象に、安全かつ効率的なドローン点検を行った。

今回の検査は、非破壊検査の国際的な技術認証「ISO9712」の要件を満たした体制の下で済ませた。

(藤原秀行)

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事