車線変更や車両回避もスムーズに
自動運転トラックの開発を手掛けるT2と三菱地所は8月21日、茨城県城里町の「日本自動車研究所(JARI)城里テストセンター」で、自動運転トラックのデモ走行をメディアに公開した。
1周約5kmのテストコースをT2の自動運転トラックが高速道路を想定し、トラックドライバーが同乗して適宜自動と手動を切り替える「レベル2」自動運転で実施した。スピードは最高で時速70kmと設定した。
自動運転の際はドライバーがハンドルに触れなくても、車両に搭載しているシステムが周辺の状況をレーダーでなど監視して自動的に走行車線を変更したり、前方に割り込んできた車両を検知してスピードを落とし、車間距離を保って後ろに追従したりとスムーズな運転を披露した。
テストコースを走行したT2の自動運転トラック
T2は今年7月、国内で初めて関東~関西間の高速道路一部区間で、自動運転トラックを使った幹線輸送の商用運行を開始。佐川急便、西濃運輸、日本郵便、福山通運、三井倉庫ロジスティクスの5社から輸送を請け負っている。
現状はレベル2の自動運転を実施しており、27年10月にはドライバーが同乗せず、特定の条件下で完全自動運転する「レベル4」の運行を始めることを目指している。
三菱地所はT2と資本・業務提携しており、三菱地所が高速道路のICに直結した「次世代基幹物流施設」を開発して、自動運転トラックが施設の敷地内や屋内へ無人でスムーズに出入りできるようにすることを目指している。
両社は今年7月には、三菱地所傘下の東京流通センター(TRC)が東京・平和島に構えている物流施設内で、建物内の自動走行の実証を始めた。今後も技術開発などを連携して進め、自動運転トラックを組み入れた物流施設を普及させることで人手不足にも対応できるようにしたい考えだ。
デモ公開に合わせて記者会見した三菱地所物流施設事業部の桂木悠斗基幹物流事業推進室長は「今後もサステナブルで強い物流の実現に不動産の観点から貢献していけないかということで、基幹物流施設を進めている。関東や関西の大動脈で一定のビジネスモデルを構築した上で、人手不足に悩まれている東北や中国、九州のエリアにも広げていきたい」と語った。
(藤原秀行)