「物流2024年問題」対応と施設セキュリティ強化の両立目指す
SGホールディングスグループで百貨店・大規模小売店向けの納品代行や店内配送を手掛けるワールドサプライと、画像認識AIや映像生成AIを手がけるナブラワークスの両社は8月29日、商業施設における納品受付業務の効率化と、入退館管理の高度化によるセキュリティ強化を両立するため、AI顔認証システムを活用した実証実験を今年9月から約1カ月間、千葉県内の大型商業施設で実施すると発表した。同種の実証実験は国内で初めてという。
商業施設の納品受付は、地下搬入口など暗く混雑した環境で行われることが多く、紙台帳やICカードの手渡しによるアナログ管理が主流。本人確認の不確実性や受付渋滞によるドライバーの待機時間など、セキュリティと業務効率の両面で課題を抱えている。
両社はそうした問題の解決を後押しするため、ナブラワークスのAI顔認証技術を活用した無人納品受付システムの実証開発に着手した。
初回登録のみの“顔パス”によるハンズフリー入退館を可能とする同システムは、施設の省人化・セキュリティ強化と、ドライバーの負担軽減を同時に実現することを目指している。並行して、業務の迅速化で「物流2024年問題」にも対応し得る、新たな受付インフラとして確立することを図る。
同システムは地下搬入口など照明環境が整っておらず、人の出入りが多い場所でも高精度に個人を特定。マスク着用や複数人が同時に映り込む状況でも安定した認識性能を発揮できると想定している。
また、一度の顔写真登録だけで、以降は端末に顔をかざせばICカードの貸出・返却手続きが完了。荷物を抱えながら毎回同じ情報を手書きするドライバーや作業員の負担を軽減するとともに、記帳待ちの行列も解消できると見込む。
今回の実証実験は商業施設の管理仕様に合わせ顔認証結果により自動的に入館証を貸し出しできる「ICカード管理システム」を併用。将来はICカードも不要な”顔パス”による完全ハンズフリー化を目指す。
さらに、従来の手書き台帳に代わり、入退館記録をリアルタイムでデジタル管理。なりすましやICカードの持ち帰りといった不正リスクを低減し、履歴の検索性も向上するとみている。
今回の実証実験で、商業施設搬入口における防犯上の課題とドライバーの負担軽減に対する効果を検証。ワールドサプライの商業施設向け販売支援サービスの一つとして既存受託施設から、今後計画される都市再開発でリニューアルされる商業施設へ展開していきたい考え。
(藤原秀行)※いずれも両社提供