業務量増や人手不足に対応、HSコードや原産地情報など入力容易に
Shippioは9月8日、新たにAIを活用した通関業務効率化支援のクラウドサービス「Shippio Clear」(シッピオクリア)の提供を始めると発表した。
通関業務の負荷を軽減し、通関士がより専門性を活かした業務に集中できるよう後押しする。まず海上輸入業務からカバーを始め、今後は輸出や航空貨物も対応していきたい考え。
近年の輸出入量の増加に伴い、通関許可件数は2016~24年で8倍量に増大する一方、通関従事者の数は横ばいで、人手不足と1人当たりの業務負担の重さが課題となっている上、通関業務はDXが進まず、業務の属人化とアナログな作業が依然広く残っている状況を考慮、新サービスの提供にこぎ着けた。
Shippioがグループの協和海運と共同で検証を実施した結果、「Shippio Clear」の導入により、通関業務全体で約7割の効率化を実現できたという。
「Shippio Clear」のAI OCR(AIを活用した光学式文字読み取り)機能はフォーマットがばらばらな貿易書類で読み取り精度97%を実現。品目ごとと総量の自動計算や正誤確認機能も搭載し、手作業での転記ミスとダブルチェック工数の大幅削減を実現する。
登録したデータをNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)申告書フォーマットに自動変換し、HSコードや原産地情報も含め、申告に必要な全項目をワンクリックで出力できる。HSコードはデータベースを基に、各商品に合ったHSコードを推奨する。クラウド上に蓄積した過去実績データ活用で、その先の業務効率化にもつなげられるとみている。
Shippioの貿易管理効率化支援のクラウドサービス「Shippio Works」(シッピオワークス、物流事業者向け)や「Shippio Cargo」(シッピオカーゴ、荷主向け)と連携させれば、貿易案件の管理から通関までをShippioクラウド上で完結できるようになり、関係者間のコミュニケーションコストを含め、通関領域の効率化を深化できると想定している。
(藤原秀行)※いずれもShippio提供