事業説明会で言及、供給過多からの市場転換は2~3年後と展望
大和ハウス工業は9月9日、物流施設や商業施設の建設などを手掛ける事業施設事業の計画に関する説明会を開催した。
同社の更科雅俊上席執行役員ビジネス・ソリューション本部建築事業本部長は、同事業の中核を占めている物流施設に関し、開発してきた延床面積が今年3月末時点で約1431万㎡(開発中物件含む)に上り、2024~29年の5年間で約330万㎡の開発を見込んでいると説明。「引き続き開発は推進していく。開発量でトップクラスを維持できるよう計画している」と自信を示した。
一方、「去年から今年、供給過多になっており、今がピークになっていると思う。2~3年後には急激に新築の供給が減るだろうと思っている。需要はいろんな統計やわれわれの(物流施設への)実績を見ても一定量は微増できているので、バランスが逆転するのは2~3年後とみている」と展望した。
併せて、工場を物流センターに建て替えるなど、事業施設でも既存の施設を収益物件に再生していくことに注力し、事業施設事業の柱の1つに育てていくことを目指す方針を明らかにした。
更科氏は、25年度の事業施設事業の売上高が1兆3330億円、営業利益が1460億円を計画しており、24年度実績よりは減収減益になると言及。
物流施設の新たな取り組みとして、静岡県の新東名高速道路の掛川PA上り線近接地で中継物流拠点やドライバー休憩施設などの開発を掛川市と共同で目指すなど、政府や地方自治体と組んで物流の課題解決を図っていることを紹介。
24年に東京都江東区で竣工した「DPL江東深川」では入居しているビームスと組み、建物のデザインを明るい雰囲気のものにしたほか、敷地内で地域住民向けの施設見学ツアーやイベントを開催したことにも触れた。
千葉市の「DPL千葉四街道Ⅱ」はバスケットやフットサルのコート、ランニングコースを使えるようにし、施設内にシャワー室や更衣室を設けていることを報告。地域社会とのつながりのある物流施設になるよう重視していると説明した。
(藤原秀行)