倉庫寄託の約款を60年超ぶりに抜本改正へ、付帯業務や緊急入出庫オーダーは料金請求可能と明記

倉庫寄託の約款を60年超ぶりに抜本改正へ、付帯業務や緊急入出庫オーダーは料金請求可能と明記

国交省が26年4月1日施行予定

国土交通省は2026年度、営業倉庫を利用する際の標準的な取引ルールを定めている「標準倉庫寄託約款」と「標準冷蔵倉庫寄託約款」を改正する。業務のデジタル化が進んでいる現状などに合わせて内容を見直すほか、付帯作業を定義して、倉庫利用者から求められた場合は別途料金を請求できることを打ち出していることなどが柱だ。

標準倉庫寄託約款は1959年、標準冷蔵倉庫寄託約款は1960年の制定以来、ほぼ当初の内容のままとなっており、現状に即していない部分が出ていた。抜本的に中身を改正するのは60年以上ぶりとなる。



国交省は8月29日から9月11日にかけてパブリックコメント(一般からの意見募集)を実施した。その回答も踏まえ、26年4月1日に改正を施行する。

従来、倉庫に貨物を預ける寄託者が倉庫業者に通知や指示などの意思表示をする場合、約款は書面で行うことと定めていたが、改正後はファックスや電子メールなども使えるようにする。

また、2020年施行の改正民法で寄託契約が目的の物を引き渡した段階で成立する「要物契約」から当事者間が合意した時点で成立する「諾成契約」に変更になったが、倉庫の取り扱いに関しては従来通り、預ける貨物を引き渡した段階で契約が成り立つことを明確にする。

同時に、標準倉庫寄託約款は倉庫事業者と利用者が特約を結んだ場合、諾成契約として「面積建保管」が可能になる旨を盛り込んでいる。

このほか、今年4月施行の物資流通効率化法の内容に合わせるため、搬出入トラック内の手荷役、仕分け、検品などを付帯業務と明示し、倉庫事業者が利用者から作業を求められた場合は別途料金を請求できると設定している。

さらに、「十分な時間的余裕のない入出庫指図や、指図の取り消しが発生した場合」も別途費用を請求できるようにしている。荷役・荷待ち時間の増大につながる緊急の入出庫オーダーは対価を得られるようにし、こうした作業時間が発生するのをけん制する。



(藤原秀行)

物流施設/不動産カテゴリの最新記事