荒天影響船や波・風のモニタリング強化、船舶性能の解析業務迅速化も
ウェザーニューズは10月2日、船舶の環境性・安全性・経済性に配慮した運航を支援する統合型の航海気象サービス「SeaNavigator」(シーナビゲーター)にAIエンジンを搭載し、新たに気象・海象見解の自動生成や荒天影響船を自動抽出する「AI Weather Insight」(AIウェザーインサイト)と、膨大な海象や航海データの分析で運航最適化を支援する「AI Agent」(AIエージェント)の提供を開始したと発表した。
「AI Weather Insight」は、AIを用いて5日先までの全世界の海域における気象・海象見解をテキストや表で自動生成するほか、船舶の位置や航路情報を基に、荒天影響船をピックアップし、波・風の予報や影響時間を瞬時に算出する。
荒天時でも常にリアルタイムの予報を確認できるため、より安全なルート選定や遅延リスクなどの把握が可能になると見込む。
「AI Agent」はテキストで質問するだけで、過去の海象データやユーザーの船舶の位置情報・船舶性能などのデータにアクセスして分析し、チャット形式(対話形式)で回答する。例えば、「この3カ月で燃費が良くて、スピードも出る船舶は?」のように、人手では時間を要する内容もAIによって瞬時に分析できるため、船舶性能の業務解析の迅速化が実現するとみている。
今後は海運事業者(船主・船舶管理会社・運航船社)のユーザーからのフィードバックを生かし、より便利に使えるよう「AI Agent」の機能拡張や新たなAIソリューションの開発に取り組む。
「SeaNavigator」の利用者は「AI Weather Insight」を駆使することで、熱帯低気圧の発生確率などを考慮した最新の概況文をいつでも入手できる。
従来のようにパソコン上で気象と船の位置を動かして荒天影響船を推定したり、ウェザーニューズの専門家に問い合わせたりする手間を解消できるという。社内で荒天影響船の共有が迅速になり、ルート変更などの判断や遅延のリスク把握のスピードが加速することで、安全性と効率性をより確実に両立できると見込む。
「AI Weather Insight」をクリックすると、気象・海象概況のほか荒天影響船と波高や風の予報などを表示する(右側のテキストや表)
「SeaNavigator」の「Logbook+」を開いて「AI Agent」に分析したい内容を質問する
「AI Agent」チャット形式での質問と分析結果
「AI Agent」にスピードが速い船について質問する様子と回答
「Fleet Status Monitoring」のモニタリング画面。船が荒天に遭遇するリスクがある場合や予定と異なる場所を航行している際や、 レポートが届いていない場合などに、黄色・赤色で船舶や陸上オペレーターに危険を知らせる
モバイル版のSeaNavigator
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用