AutoStore自動倉庫、ケース扱い開始で国内市場ニーズに合致と期待

AutoStore自動倉庫、ケース扱い開始で国内市場ニーズに合致と期待

日本トップの安高氏が表明、今後も機能拡張に意欲

自動倉庫システムを手掛けるノルウェーのAutoStore(オートストア)の日本法人AutoStore System(オートストアシステム)は11月7日、東京都内の本社でメディア向けに新製品などの説明会を開催した。

この中で、日本の責任者を務めるAutoStore Vice President Japan(ヴァイス・プレジデント・ジャパン)の安高真之氏は自動倉庫システムに関し、従来のビン(専用コンテナ)を活用したものに加え、入荷した際の段ボールケースをそのまま保管できる「AutoCase」(オートケース)に強く期待していると説明。日本国内でも2026年後半ごろに提供を始めたいとの考えを示した。



これまで自動倉庫システムは、ケースで商品を入荷した際にいったん開梱して取り出し、ビンに移し替える容器変換の作業が発生してきた。安高氏は「他社の製品と比較してずっと弱点と言われていた容器変換の工程を克服できる。お客様からはAutoStoreがケースを扱えるようになれば世界が変わると言われていた」と意義を強調。ケースでの流通が一般的な日本市場に合致した機能と自信を見せた。

また、異なるサイズのビンを同一のグリッド(保管スペース)内に格納できる「FlexBins」(フレックスビンズ)も、顧客の多様なニーズをカバーできるようになるとの見方を示した。FlexBinsを取り入れれば保管密度を最大で15%アップさせることが可能と想定。この機能は26年の年明けにグローバルで展開を始める計画を明らかにした。


新製品の意義などを説明する安高氏


AutoCaseのイメージ(AutoStore System提供)

安高氏は作業自動化のマテハン市場に関し「爆発的な(需要の)増加がなくなってきているのが大きな課題。マーケットは上下が激しく、グローバルで見ると全体的にそこまで順調ではないと思っている。そういう中で(AutoStoreが)安定的に事業ができているのは悪くないのではないか」と指摘。

日本の状況について「人手不足のトレンドはむしろ強まっている。特に製造業のお客様は省人化をかなり進めておられるので自動化技術の導入に抵抗はなくなっている。在庫を抱えているお客様にとって(保管効率向上や入出荷迅速化という)必要なストーリーは変わらない」との見方を示した。



自動倉庫システムの競争が激化している現状に対しては「お客様にとっては選択肢が増えて、とてもよい世界が来ていると思う。同時に、何が本当にいいのかを決めるポイントがだんだん難しくなってきている」と分析。

「われわれの最大の良さは格納効率。この点をさらに生かすことを考えた。複雑な機構を増やせば増やすほど故障ポイントが増えるので、お客様の立場になって考えるとなるべくシンプルなものがいいと思う」と語った。「当社は(自動倉庫システムで)既に15年間実績があり、動き続けている。競争に勝ち抜くためにも、お客様のニーズをどんどん取り込んでいくことはやっていきたい」と述べ、今後も自動倉庫システムの機能拡張に強い意気込みを見せた。

(藤原秀行)

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