ヤフーとプラス、「現状は考えなし」も臨時取締役会の内容次第で方針変更におわす
アスクルは7月30日、同社が8月2日に開く定時株主総会に関連して、大株主のヤフーとプラスに対し、岩田彰一郎社長と独立社外取締役3人の再任反対の議決権を行使したのに伴い岩田氏ら4人に代わる取締役候補などの緊急動議を出す意向があるかどうかを書面で質問したと発表した。
関連記事:アスクル「業績は回復基調、『低迷への責任追及』は不適切」
書面は7月28日付で発送、ヤフーからは同29日付、プラスからは同30日付で書面により回答が届いたという。ヤフーは代理人弁護士、プラスは今泉公二社長の名義となっている。アスクルが公表した回答の書面によれば、ヤフー、プラスともに現状では同総会が適法・適切に運営される限り、何らかの緊急動議を提出する考えはないと明言した。
ヤフーは、アスクルが総会後に独立社外取締役が不在になると懸念していることについて「臨時株主総会などを通じて速やかに(アスクルの)企業価値最大化に貢献し得る新たな独立社外取締役が十分な人数選任されるよう、最大限協力する」と約束している。
ただ、同時に両社ともにアスクルが8月1日に開催を計画している臨時取締役会の運営方法や決議内容によっては、緊急動議を提出しないとした方針をやむを得ず変更する可能性があると明言。状況に応じて岩田氏らの後任に関する提案を検討することを示唆した。
アスクルは同日の臨時取締役会で、ヤフーとの資本・業務提携解消に向け、ヤフーに所有するアスクル株式の売り渡しを請求する方針を正式に決める予定。ヤフーとプラスはアスクルの動きを強くけん制した格好だ。
ヤフーはまた、回答の中で、筆頭株主としてアスクルの定時株主総会の検査役選任を裁判所に申し立てたことを明らかにした。招集手続きや決議の方法を調査するのが目的。今後アスクルが総会決議の取り消しを訴えることに備えたとみられる。
(藤原秀行)