製造委託先に「買いたたき」、金型など無償保管も
公正取引委員会と中小企業庁は12月8日、スズキ系の自動車部品メーカー、スニック
(静岡県磐田市)が部品の製造委託先に対し、製造コストが上がるのにもかかわらず価格を据え置いていたことなどが下請法違反に該当するとして、再発防止を勧告した。
中企庁が下請法違反の疑いで同社を調査し、その結果を踏まえて今年11月に公取委へ措置を講じるよう請求していた。
公取委と中企庁は併せて、一般社団法人日本自動車工業会、一般社団法人日本自動車部品工業会、一般社団法人日本自動車車体工業会に対し、業界全体の取引適正化を一層推進するようあらためて要請した。
公取委と中企庁によると、スニックは遅くとも2024年3月以降、量産が終わり、発注数量が大幅に減って製造コストが上昇することが明らかだった部品318種類に関し、製造委託先10社と協議をせず、一方的に量産時の発注数量を前提とした単価を据え置いていた。
公取委と中企庁はこうした行為が、下請法で禁じる「買いたたき」に該当すると判断した。
また、スニックは同じく遅くとも24年3月以降、委託先14社に、長期間部品製造を発注していないにもかかわらず、合計880個の金型などを無償で保管させていた。
スニックは中企庁の指摘を受け、委託先と協議して見積書を徴収し、今年10月21日までに14社に総額約842万円を支払ったという。公取委と中企庁は、無償で金型などを保管させていたことによる費用に相当する額の一部とみている。
スズキは12月8日、「今回の件を厳粛に受け止め、スズキおよびスニックをはじめとするスズキグループ会社における下請法遵守の徹底を図るとともに、スズキグループのコンプライアンス体制の一層の整備と強化に努めてまいります」と謝罪するコメントを発表した。
(藤原秀行)


