システムを共同開発、配送効率は従来比30%向上
スタートアップのQuanmatic(クオンマティク)は12月23日、カインズの顧客向け配送サービス「CAINZお届け便」に、量子計算技術を適用した「ダイナミック配送システム」を本格導入し、今年7月に実運用を始めたと発表した。
複数店舗の需要に応じて配送ルートをリアルタイムに立案することが可能となり、配送サービスの品質を維持しながら必要な車両台数を21台から15台へ集約、配送効率は従来比で約30%向上したという。
両社は2024年11月、量子計算技術を用いたダイナミック配送システムのPOC (概念実証)が完了し、本格導入を目指すと公表していた。現在は関東・関西圏を中心に全国21店舗で採用している。
「CAINZお届け便」は徒歩・自転車・公共交通機関による来店が多い都市部(1都3県・名古屋・大阪・神戸)の21店舗を対象に、 カインズが2022年に提供を開始した。店頭購入商品を自宅まで最短当日中に届ける。24年の年間配送件数は2万件を超え、利用者に受け入れられている。
「お届け便」サービスを拡大する上では、配送件数の少ない店舗も対象となるため、複数店舗で柔軟な配送ルート設計を行うことによって、効率的に車両を共有できるようにする必要があった。複雑な計算課題をクリアするため、両社は量子計算技術を適用したアルゴリズムを搭載した「ダイナミック配送システム」を共同開発した。
近隣の複数の店舗で車両を共有する共同配送モデルの採用により、各店舗の配送需要に応じて最適な配送ルートをリアルタイムに立案できるようになった。

共同配送モデルのイメージ。量子計算技術の活用で配送ルートのリアルタイム立案が可能に(Quanmatic提供)
(藤原秀行)










