ヤマトHD・櫻井次期社長「経営のフェーズを実行から収穫へシフトさせる」

ヤマトHD・櫻井次期社長「経営のフェーズを実行から収穫へシフトさせる」

宅配の価格転嫁促進と法人向けサービスなど拡大に意欲

ヤマトホールディングス(HD)の長尾裕社長と、同社の次期社長に決まったヤマト運輸の櫻井敏之常務執行役員は1月22日、東京都内で記者会見した。

櫻井氏は「これまで長尾さんをはじめとする経営チームが断行してきた経営構造改革により、次の成長への土台は整った。私はこの土台を最大限に活用し、経営のフェーズを実行から収穫へとシフトさせていく」と強調。



「私が取り組む至上命題はヤマトグループを持続的な成長軌道に乗せることであり、そのためには必要に応じて聖域なき軌道修正も行っていく。宅急便で培った顧客基盤を生かしてコントラクトロジスティクス(3PL)、グローバル事業など成長領域に経営資源を大胆にシフトし、飛躍的な成長を実現してまいりたい」と述べ、主力の「宅急便」を展開している宅配事業でサービスの価格転嫁促進を図るとともに、宅配以外の法人向けサービスなどを拡大させていくことに強い意欲を見せた。


会見後の撮影に応じるヤマトHDの長尾氏(左)と次期社長の櫻井氏

会見で長尾氏は「激変する市場環境下でも櫻井さんがこれまで培ったリーダーシップを発揮し、ヤマトグループをけん引するものと確信している。これからのグループを率いていくのにふさわしい人物だ」と強調。ヤマト運輸の阿波誠一社長とタッグを組み、櫻井氏が経営革新に取り組んでいくことに期待を寄せた。

櫻井氏は、宅配事業について「市場そのものが決してこれまでのように順調に伸びていくわけではないと認識している」と予想。「そうした中で付加価値をさらに上げていく、あるいは宅急便以外の領域にさらに注力していく、こうした事業環境の変化と私たちが取っていかないといけない戦略は大きな転換点にあると認識している」との見方を示した。

宅配事業の料金見直しに関しては「サービスの品質を磨きながらお客さまにきちんと提供していく、あるいはクール便やスピード商品を取り入れながら適正なプライシングを進めていきたい」と語った。

M&Aへの考えを問われたのに対しては「当然ヤマトグループとして、これから持続的な企業成長、企業価値の向上を遂げていくためには、必要な機能やシナジーを得られるような相手は積極的に私たちもリサーチしながら、M&Aは進めてまいりたい」と述べ、前向きな姿勢を示した。



長尾氏は、櫻井氏へのメッセージを聞かれたのを受け「私の代でいろいろやったことを遠慮なく否定していただいていい。慮らずしっかりとやるべきことをやっていただきたい」とエールを送った。併せて、「まだまだこれから大きく環境は変化していくと思うので、その中でも宅急便が必要とされる存在になり得るのかということはあらためて、櫻井新社長を中心に向き合っていかないといけない課題だろうと認識している」と訴えた。

櫻井氏はグループの約18万人へのメッセージとして「私がずっといいなと思っているところは、ヤマトの社員は自分たちの会社、自分たちの事業が大好きであるということ。もっともっと自分たちの会社、自分たちの事業を好きになろうよということを最初に伝えたいと思っている」と語った。

(藤原秀行)

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