3PLサービス展開し自動倉庫システムなど積極導入、作業時間短縮で成果
機械部品大手のミスミグループ本社とパンチ工業は4月2日、両社の入出荷・在庫保管業務を共同で実施しているミスミの物流拠点「東日本流通センター」(川崎市)をメディアに公開した。
ミスミがパンチ工業の物流を請け負う3PLサービスを展開しており、まず両社が取り扱っている部品類をミスミの物流拠点に集約し、ミスミが在庫管理と入出荷を手掛けている。自動倉庫システムをはじめ先進技術を積極的に活用し、荷待ち・荷役時間の大幅な短縮など業務効率化で成果を上げているのが特徴だ。
ミスミとパンチ工業は2024年10月、資本・業務提携を実施。多種多様な部品を取り扱い、自社で物流を管理してスピーディーな納品を実施しているミスミと、高度な精密加工技術を強みとしているパンチ工業が組み、出荷の迅速化・効率化を図っている。
東日本流通センターはラサール不動産投資顧問と三菱地所、NIPPOが共同で開発した大規模なマルチテナント型物流施設「ロジポート川崎ベイ」の4・5階部分10万1146㎡を利用している。広さは東京ドーム2個分に相当し、ミスミとしてはグループ最大の出荷拠点で、輸出の機能も担っている。在庫能力は40万点に及ぶ。

「ロジポート川崎ベイ」の全景。ミスミグループのセンターは4・5階部分に入居している(ミスミグループ本社提供)
物流の共同化に際し、ミスミとパンチ工業は経済産業省の物流効率化実証事業に参加。両社の荷物を一括して出荷し、荷役作業の効率化と配送効率の改善を図った。実証事業にはSBS即配サポートも参加した。
実証事業の結果、26年1月はトラックの荷待ち・荷役時間を実証実施前と比較して月間で110時間短縮できたほか、積載率を72%まで2ポイント改善した。ピッキングの自動化で拠点に努めるスタッフの総労働時間も月間274時間減らせたという。
ミスミが自社の物流機能を駆使して3PLを展開しているのはパンチ工業向けが初めてだ。パンチ工業が横浜市に構えていた物流拠点の機能を、ミスミの東日本流通センターに統合している。
東日本流通センターは営業倉庫として登録認可済みで、パンチ工業の3PL業務専用エリアを設けている。出荷時のピッキング作業にはミスミが独自に開発した自動計数ピッキングカートを導入。ねじやばね、ナットといった小さな部品類を大量に出荷する際、人手でいちいち個数をカウントするのではなく、重量や画像から個数を自動的に計算し、カートのトレーに入った部品類の数がピッキング予定数と合わなければ次の作業に進めないようにして、正確性を担保している。

画像で自動計数するピッキングカート

画像で自動計測する様子。画面に数量が表示されている(この写真はミスミグループ本社提供)
技術の特性を踏まえ、重量で計測するカートはねじやばねのように小さかったり、袋に入っていたりして画像認識のハードルが高いもの、画像で計測するカートは非常に軽かったり、部品ごとにばらつきが大きかったりして重量で判断しづらいものとそれぞれ得意な領域で使い分けて相互に補完し合い、効率良くピッキングできるよう工夫している。
ミスミの計測では、なべ小ねじ(1個当たり0.15g)を4000個ピッキングする場合、人手では作業が2時間35分50秒、重量はかりで37分45秒を要したが、画像デジタルピッキングカートは6分45分で完了したという。人手の9割超短縮できた計算だ。
出荷数が多い部品類はギークプラスの自動倉庫システムに格納。AGV(無人搬送ロボット)が出荷する部品が入っている保管棚を持ち上げて作業スペースまで運ぶ「Goods to Person」(GTP)方式だ。現在、AGVは76台、保管棚は490台、ピッキングする作業場所のステーションは8基を稼働させている。今後はAGVを114台、保管棚を600台、ステーションは11基まで増やすことを想定している。
自動倉庫システムを使うことで作業スタッフは広いセンター内を歩き回らずにピッキングを進められるため、作業負荷を大幅に減らせている。作業スタッフが取り出した部品は、ミスミが独自に出荷先ごとの折り畳み式コンテナに自動で仕分けできるよう改良、自動倉庫システムの効果を高めている。

AGVが部品を保管した棚を搬送する

ピッキングした部品を自動で仕分ける

出荷の際、システムでスキャンすればどの宅配事業者向けの荷物かを分かりやすく表示し、誤出荷を防ぐ
(藤原秀行)












