都内の選手村予定地から新国立競技場まで約30分で移動
2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会と東京都は8月25日夜、本番の開会式を想定し、選手を大型バス計75台で輸送する実証テストを実施した。
大型バスは25台ずつ3つのグループに分かれ、選手役の学生ボランティアや都職員ら約140人が乗り込んだ。それぞれ隊列を組んで東京・中央区の選手村予定地から首都高などを通り、同新宿区の新国立競技場周辺まで輸送。予定より約10分早い30分程度で到着した。
併せて、車いすに乗った選手役の人がスムーズに乗降できるかどうかも確認した。テストの時間帯には走行ルート周辺で一般車両の進入をストップしたり、首都高の出入り口を閉鎖したりした。
機械で車いすに乗った人をバスから降ろした※いずれもクリックで拡大
輸送テストの様子
目的地到着後、テストに参加した車いすラグビーで04年のパラリンピックアテネ大会に参加した福井正浩氏はメディアの取材に応じ、「日曜の夜ということもあり移動は比較的スムーズだったが、(車いすの)乗り降りにはまだまだ改善が必要かなと感じた」と感想を述べた。
同じくセーリングで1996年のアトランタ大会などに出場した須藤正和氏は「車いすは今(乗降に)5分くらいかかっているので、少なくとも1~2分くらいで済むようにした方がいい。それは工夫で改善できると思う」と語った。
取材に応じるパラリンピアンの福井氏(左)と須藤氏
組織委輸送局の齋藤勝久輸送企画部長は「道路の環境としては(休日となる来年7月24日の本番時と)ほぼ同じ。そういう中で実際にこれだけ大量のバスを走らせてみて、全体として見れば非常に順調だったのではないか」との見方を示した。
都オリンピック・パラリンピック準備局の佐久間巧成輸送担当部長は「首都高はおおむねスムーズに流れたが(コースごとに)大なり小なり課題はあると思うのでしっかり分析し、本番に向けて改善していければいいかなと思う。走らせてみて実際どうだったか体験できたのは非常に大きな経験値」と話した。
組織委や都などは引き続き、大会期間中の車利用抑制を都民らに呼び掛ける構え。パラリンピアンがよりストレスを感じることなく乗降できる仕組みも検討課題となりそうだ。
取材に応じる齋藤氏(右)と佐久間氏(続きはYouTubeのLOGI-BIZ Onlineページに掲載)
(藤原秀行)