関係者検討会で内閣官房など提案、夜間半額割引も
2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会や政府、東京都などは8月26日、都内で大会期間中の円滑な輸送確保に向けた施策を協議する「交通輸送技術検討会」の第6回会合を開いた。
席上、内閣官房と国土交通省は交通量抑制のための追加施策として、大会期間を軸に都内の区間を走った際の首都高の通行料金を昼間(午前6時~午後10時)は上乗せする一方、夜間(午前0時~4時)はETCを利用する車を対象に首都高全線で半額に割引する案を提示した。上乗せ額は1000円とする方向。
上乗せはマイカーをメーンの対象とし、物流や公共交通、福祉用車両、緊急車両などは適用外。物流車両は緑ナンバーと自家用の両方を対象とする見通し。
7月に実施した通行規制の実証実験では通行量抑制の効果が一定程度確認できたものの、首都高は一般道より減りにくい傾向が見られた点などを踏まえ、追加で対策を講じることにした。組織委や都は提案内容を基に追加施策を正式決定し、実施に必要な沿線自治体や関係事業者の了解を得たい考え。
都オリンピック・パラリンピック準備局の佐久間巧成輸送担当部長は会合後の記者会見で「(料金上乗せは)利用者や国民に影響の出る中身なので、都と組織委でしっかり検討し、取りまとめていきたい」と語った。
第6回会合
ナンバープレートに基づく交通規制は見送りへ
提案は料金上乗せの期間として、オリンピックとパラリンピックが開かれる期間を含め、7月20日から8月10日までと、8月25日から9月6日までの計35日間とすることを打ち出した。
交通規制に加えて料金上乗せを実施した際のシミュレーションを行った結果、上乗せ幅が1000円と2000円の場合は、都内の選手村から新国立競技場までの輸送時間が、組織委などが目指している「休日並みの首都高通行量」と同程度になったという。ただ、1000円と2000円の場合の効果が同程度とされている根拠は示されていない。
一方、関係者の間で浮上していた、ナンバープレートの数字に基づく通行規制や、複数人数が乗る車両のみ通行できるようにして相乗りを促す「HOVレーン」の設定に関しては、誤って進入した車が転回して出るための十分なスペースが本線料金所にないことなどを理由に見送る方向となった。
(藤原秀行)