【独自取材】国内主要機関投資家、物流企業48社の株主総会議案に「ノー」

【独自取材】国内主要機関投資家、物流企業48社の株主総会議案に「ノー」

取締役会出席率や買収防衛策の制度設計不備など列挙

国内の主要機関投資家13社はこのほど、投資先企業が今年の4~6月に開催した定時株主総会で行使した議決権の結果を開示した。ロジビズ・オンラインが上場している運送や海運、倉庫など主要物流企業の議案に対する賛否を集計したところ、計48社の総会で何らかの会社側提案に反対票を投じていたことが明らかになった。

機関投資家が「ノー」を表明したのは、取締役と監査役の選任、役員報酬改定、買収防衛策、剰余金処分(配当)など。反対の理由としては、社外取締役の取締役会出席率が自社の基準を下回っていたことや、監査役が親会社出身で独立性に疑念があること、買収防衛策の制度設計に不備があることなどを列挙している。

金融庁は2017年、機関投資家向けの行動指針「スチュワードシップ・コード」を改定し、議決権行使の結果を開示することを盛り込んだ。機関投資家が投資先企業のガバナンス(企業統治)が適正か監視したり、正しい経営判断を行えるよう助言したりすることを促すのが狙いだ。

物流企業に対しても、機関投資家が経営監視や助言の役割を果たそうと努めていることが浮き彫りになった格好だ。物流企業としても、機関投資家とより対話を深め、企業価値向上につなげていくことが一層求められそうだ。

監査役の「長期在任」を指摘

集計は、大手生命保険会社4社(日本生命、第一生命、住友生命、明治安田生命)、大手金融機関3社(三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、りそな銀行)、大手資産運用会社6社(野村アセットマネジメント、大和証券投資信託委託、日興アセットマネジメント、三菱UFJ国際投信、アセットマネジメントOne、三井住友トラスト・アセットマネジメント)がそれぞれ公表した議決権行使結果から、主要な上場物流企業をピックアップした。

定時株主総会で最も多くの機関投資家が反対したのは、福山通運が提案した独立社外取締役の再任で、12社に上った。このうち理由を開示している機関投資家は、取締役会への出席率が自社基準を満たさなかったためと説明している。

2番目に多かったのは、三菱倉庫が提案した社外取締役の再任で11社が反対。同じく取締役会の出席率などを理由に挙げている。続いて10社が反対したのが福山通運の監査役再任で、在任が12年に及ぶことなどを指摘している。

9社が反対したのは、トナミホールディングスの社外取締役再任、日立物流の社外取締役再任、NSユナイテッド海運の監査役選任、澁澤倉庫の買収防衛策更新、日本トランスシティの社外取締役再任、宇徳の監査役再任だった。各議案については、いずれも他の株主による賛成多数で原案通り可決、承認された。

(藤原秀行)

反対票を投じた機関投資家の数(各社で最も多かった議案を抜粋。役員選任の社外、再任など各議案の詳細は省略)

12
福山通運(取締役)

11
三菱倉庫(取締役)

9
トナミホールディングス(取締役)
日立物流(取締役)
NSユナイテッド海運(監査役)
澁澤倉庫(買収防衛策)
日本トランスシティ(取締役)
宇徳(監査役)

8
日本石油輸送(監査役)
C&Fロジホールディングス(取締役)
中央倉庫(取締役)
サンリツ(取締役)
近鉄エクスプレス(取締役)
東海運(取締役)

7
日本郵船(取締役)
川崎汽船(取締役)
ケイヒン(退職慰労金)
川西倉庫(取締役)
安田倉庫(監査役)

6
鴻池運輸(取締役)
乾汽船(買収防衛策)
ファイズ(役員報酬)
東洋埠頭(監査役)

5
ヤマトホールディングス(取締役)
飯野海運(買収防衛策)

4
サカイ引越センター(退職慰労金)
山九(監査役)
センコーグループホールディングス(監査役)
住友倉庫(取締役)
キムラユニティー(取締役)

3
丸全昭和運輸(剰余金処分)
エスライン(剰余金処分)
商船三井(取締役)
東陽倉庫(取締役)

2
ハマキョウレックス(監査役)
丸運(取締役)
共栄タンカー(取締役)

1
アルプス物流(取締役)
トランコム(取締役)
日本ロジテム(取締役)
岡山県貨物運送(剰余金処分、退職慰労金)
日新(取締役、監査役)
セイノーホールディングス(剰余金処分、取締役)
栗林商船(剰余金処分、役員報酬額改定)
杉村倉庫(取締役)
アサガミ(取締役、退職慰労金)
櫻島埠頭(剰余金処分、取締役)
名港海運(剰余金処分)

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