三井不動産が千葉・船橋で「世界最高」と評する物流施設完成、開発大詰めに

三井不動産が千葉・船橋で「世界最高」と評する物流施設完成、開発大詰めに

異例づくめの街づくり型プロジェクト、21年6月に最後の3棟目完成へ

三井不動産が千葉県船橋市で進めている物流施設3棟開発の大型プロジェクト「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋」が、大詰めを迎えている。

今年10月、2棟目となる延べ床面積22万4834平方メートル、地上8階建ての「MFLP船橋Ⅱ」が完成。同社で物流施設開発を担う三木孝行常務執行役員ロジスティクス本部長が11月5日の記者説明会で「庫内設備やオフィス、アメニティーなど全ての面で世界最高グレードの物流施設」と胸を張るほど、独自の工夫を多数凝らしている。

さらにラストの3棟目となる地上8階建て、26万8400平方メートルの「MFLP船橋Ⅲ」の建設を半年間前倒しして今年9月にスタート、21年6月の工事完了を見込んでいる。地域社会との共生を念頭に置いたプロジェクトはまさに異例づくめだ。


「MFLP船橋Ⅱ」の外観


開発のエリアマップ※クリックで拡大

トランクルームやワイン倉庫機能も取り入れ

第1弾となった「MFLP船橋Ⅰ」は16年10月完成。地上8階建て、延べ床面積は19万8386平方メートルに及ぶ。施設内には17年9月、物流現場向けの無人搬送ロボットなど先端機器を紹介するショールーム「MFLP ICT LABO」を設置。人手不足に悩むテナント企業にソリューションを提供する場として活用し、既に200社を大きく超える来場実績を重ねている。

「MFLP船橋Ⅱ」は「船橋Ⅰ」の規模を超えるのと併せて、さまざまな機能を取り込んでいる。倉庫スペースを含む全館に空調設備を取り入れているほか、スカイデッキやラウンジ、パウダールームを完備。最上階には眺望を生かしたオフィススペースを設けている。三木氏は「これまでに蓄積してきたノウハウを最大限生かし、施設で働かれる従業員の方々の満足度を高める」と力説する。

併せて、免震構造や72時間対応の非常用発電設備、顔認証システム、入退館管理を担うセキュリティーガードなど、BCP(事業継続計画)対応にも万全を期している。隣接地で同時に完成した複合共用施設「MFLP船橋・&GATE」にも従業員が利用できる保育施設、フィットネスルーム、休憩ルーム、ワーキングスペースなどをそろえている。トランクルームやワイン倉庫機能を備えたストレージサービスも取り入れており、まさに至れり尽くせりといった印象だ。


顔認証システム(左)とエントランス(セキュリティーゲート)


スカイデッキ


「MFLP船橋・&GATE」の外観

省人化技術のショールームは規模10倍に

「MFLP船橋・&GATE」には、さらに目玉となる施設が20年1月末に完成、お目見えする予定だ。前述の「MFLP ICT LABO」をグレードアップする「MFLP ICT LABO 2.0」は、面積が約10倍、紹介する機器数も2倍以上に拡張する計画。センターの入荷から出荷まで全物流業務フローを自動化した「フルオートメーション物流」のモデルを展示する準備を進めているという。「床を貸すだけではなく、テナント企業がお持ちのさまざまな課題を一緒に解決していくソリューションが重要」と主張する三木氏らの姿勢を体現したショールームとなりそうだ。

「街づくり型」と標ぼうしているだけに、敷地内では「船橋Ⅲ」の完成と併せて、約2万平方メートルの大型緑地を整備する。エリアの交流拠点として地域住民も利用できるよう開放するのが特徴で、災害時の避難場所としても使えると見込む。ここには新たな試みとして、スケートリンクを誘致することが決定。国際スケート連盟基準に準拠した60メートル×30メートルのリンクと、練習場としての機能を持つリンクの2面を完備するという。さらに周辺で三井不動産が展開している各種施設と連携していくことも視野に入れている。

同社は不動産開発の理念として「経年優化」を掲げており、時間が過ぎても利用する人たちに付加価値をもたらし続けることを念頭に置いている。MFLP船橋でもそうした理念の実現を目指しており、物流施設を核とした開発が地域の活性化や交流促進に貢献できるかどうか、同業他社からも引き続き注目を集めそうだ。


「MFLP ICT LABO 2.0」の完成イメージ


「MFLP船橋Ⅲ」の外観と緑地の完成イメージ
(藤原秀行)※写真はいずれも三井不動産提供

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