政府の協議会で原案提示、近く正式決定
政府は9月27日、第9回「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」と第8回「トラック運送業の生産性向上協議会」(座長・野尻俊明流通経済大学長)の合同会議を東京都内で開いた。
席上、事務局を務める国土交通省の担当者が、トラックドライバーの長時間労働抑制と取引環境改善に向けた方策を示したガイドラインの原案を提示。
荷主企業と運送事業者が連携して取り組みを進めるための具体的な手順を解説するとともに、物流センターでの荷待ち時間短縮など、参考事例13ケースを紹介した。
ガイドラインは国交省と厚生労働省、全日本トラック協会が中心となり取りまとめた。
協議会委員の意見も踏まえ、近く内容を正式決定し、セミナーなどの場を通じて周知を図り、物流現場での普及を目指す。
政府は2016~17年度にパイロット事業を実施、全国47都道府県ごとに荷主企業と運送事業者が協議会を設け、両者でトラックドライバーの労働時間短縮の具体策を検討、実際に物流現場で試行してきた。
各地の成果と浮かび上がった課題を基に、ガイドラインの原案を作成した。
荷主と運送事業者が連携し7ステップで改善を推奨
原案は「荷主企業にとっては何気ないことが、ドライバーの労働時間に大きな影響を与えていることがあり、裏を返せば、ほんの少しの作業改善であってもドライバーの労働時間を大きく削減できる可能性があるともいえる」と指摘。
①荷主企業と運送事業者の双方で問題意識を共有し、双方が同席した検討の場を設置する
②労働時間の実態を把握する
③長時間労働の原因を検討する
④両者で業務内容を見直す
⑤両者で応分の費用負担を検討する
⑥成果を測るための指標を導入する
⑦達成状況を確認、評価して一層の改善に取り組む
―とのステップを取るよう推奨している。
参考事例では、
▽物流センターの予約受付システム導入による荷待ち時間短縮(福井)
▽パレット採用による作業時間削減(岡山)
▽倉庫間の出荷などに庵する情報連携強化による出荷作業の待ち時間削減(三重)
▽輸送経路の途中でドライバーが交代する「中継輸送」実現による労働負荷低減(東京)
▽内航海運を使ったモーダルシフトによるドライバーの拘束時間短縮(和歌山)
―などを盛り込んでいる。
国交省などは、ガイドラインと併せて、パイロット事業の詳細を解説した「事例集」も作成、より荷主と運送事業者が連携して取り組みやすくなるよう努める。
協議会ではこのほか、国交省担当者が、パイロット事業を実施してきた全国の協議会のうち、18年度は16都県で新たにコンサルティング事業を展開する方針を表明。荷主企業と運送事業者にコンサルタントも加わり、より深く労働時間短縮の取り組みを進める予定だ。
(藤原秀行)
ガイドラインの原案が示された協議会
ガイドライン原案の表紙