複数の輸送モードで「貨客混載」、販促物の共同配送実現の案件を表彰

複数の輸送モードで「貨客混載」、販促物の共同配送実現の案件を表彰

19年度「グリーン物流パートナーシップ会議」開催

国土交通、経済産業の両省と日本物流団体連合会(物流連)、日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は12月13日、東京都内で2019年度の「グリーン物流パートナーシップ会議」を開き、物流業務の環境負荷軽減などで成果を残した荷主企業や物流事業者を対象とした表彰式を行った。


19年度会議の会場

環境負荷低減や業務の生産性向上で功績を挙げた事業者が対象の国土交通大臣表彰は「日本初の鉄道とタクシーを組み合わせた貨客混載輸送」を実施した佐川急便、北海道旅客鉄道、天塩ハイヤーの3社に授与。

経済産業大臣表彰は「店頭用販促物の3社共同配送事業」を発表したユニ・チャーム、ライオン、資生堂、トランコム、日立物流ソフトウエアの5社に贈呈した。


赤城国交相(左から2人目)と記念撮影に応じる国交大臣表彰の受賞者

中野経産政務官(左から3人目)と記念撮影に応じる経産大臣表彰の受賞者

前者は北海道の佐川急便稚内営業所から幌延町向けの宅配荷物の一部を、稚内駅から旅客列車の空きスペースに積み込んで運ぶとともに、幌延駅からはタクシーで配達先まで配達。日本で初めて複数の輸送モードを組み合わせた「貨客混載」を実現し、トラックドライバーの運転時間を年間3割強短縮したことなどを評価した。

後者は、従来3社が独自に運営していた販促物の物流を統一し、共通の管理システムを構築して共同配送を実現。梱包要請の削減などにつなげ、輸送時のCO2排出量を年間266・5トン減らしたことなどを重視した。

表彰式に先立ち、同会議の世話人を務めている杉山武彦高速道路調査会理事長は「もう一段グリーン物流を推進していくためには現在までの取り組みに加えてさらなる工夫と、これまで以上に多くの方が運動に参画いただくことがどうしても必要になってくる。ご支援をよろしくお願いしたい」と来場者にあいさつ。

赤羽一嘉国交相は「(表彰対象は)業種、業態の壁を超えた極めて革新的な取り組み。本表彰を通じてこうした取り組みが範となり、物流事業者や荷主といったそれぞれの立場を乗り越えた、持続可能な物流の発展に向けたパートナーシップが一層拡大するよう強く期待している」と歓迎した。

中野洋昌経産政務官は「荷主中心の取り組み申請件数が過去最多とうかがった。昨今の物流環境において、荷主の物流に対する関心が非常に高まってきていると認識している。先進的な取り組みを全国に拡大していくため、引き続きグリーン物流パートナーシップを力強く推進していくよう心から期待したい」と語った。


あいさつする杉山氏

祝辞を述べる赤羽国交相

運動への協力を呼び掛ける中野経産政務官

他の表彰案件は以下の通り。

【国交省関連】

▼公共交通・物流政策審議官表彰
「食品、日用品メーカー混載による輸送効率化への共創」
(JPR、キユーピー、サンスター、関光汽船、キユーソー流通システム)

▼グリーン物流パートナーシップ会議特別賞
「スーパーフルトレーラSF25を活用した共同輸送による物流効率化」
(ヤマト運輸、西濃運輸、日本通運、日本郵便)

【経産省関連】

▼商務・サービス審議官表彰
「共同幹線ラウンド輸送の取り組みにおける物流の効率化・強靭化~31フィート冷凍コンテナ活用による鉄道モーダルシフト~」
(キユーピー、伊藤ハム米久ホールディングス、キユーソー流通システム、JR貨物、全国通運)

▼グリーン物流パートナーシップ会議特別賞(2件)
①「全国約2900店舗における店舗配送強靭化事業~物流平準化・効率化と働き方改革を両立~」
(日本マクドナルド、HAVIサプライチェーンソリューションズ・ジャパン、富士エコー)
②「フレキシタンクを活用したJR12フィート汎用コンテナによる液体輸送の実現」
(釜石鉱山、三八五通運、JR貨物、日本物流)

(藤原秀行)

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