隊列走行関連のスペースやSA・PAの大型車用駐車ます整備など明示

隊列走行関連のスペースやSA・PAの大型車用駐車ます整備など明示

高速道路3社が国交省審議会で「安全・安心実施計画」案を報告

国土交通省は12月16日、東京・霞が関の同省内で、「社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会」(部会長・朝倉康夫東京工業大環境・社会理工学院教授)を開催した。

席上、東日本と中日本、西日本の高速道路3社が、国交省が今年9月に公表した「高速道路における安全・安心基本計画」を踏まえ、事業会社として目標の実現に取り組む方向性を盛り込んだ実施計画案を報告した。

2022年度以降に後続車無人隊列走行システムを商業化するとの政府目標を考慮し、3社はドライバーの休憩や隊列の連結解除に用いるスペースの整備に必要な検討を進める方針を確認。SA・PAの使いやすさ改善へ大型車両用の駐車ます不足解消を図る方針も打ち出した。

さらに、橋梁の耐震補強などを通じた防災機能強化、高速道路に路線識別のための番号を割り振って分かりやすくするナンバリング対応の促進、ETC専用のスマートIC拡大などを盛り込んだ。3社は部会の意見を踏まえ、近く計画を正式決定し、内容の実現を図る。

関連記事:22年以降に東京~大阪間で後続車無人隊列走行を商業化(国交省が高速道路の安全・安心基本計画公表)

五輪までに標識「ピクトグラム」対応完了

国交省の基本計画は、具体的な目標として、
①おおむね10~15年で有料の暫定2車線区間の半減を目指す(長期的には解消)
②2022年以降に東京~大阪間で後続車無人隊列走行システムを商業化
③24年までに事故多発地点約300カ所で対策を完了
④29年までに逆走による重大事故ゼロ
⑤24年度までに大雨などの通行止め基準を新たな基準へ移行
⑥大雪時における大規模立ち往生ゼロ
――などを掲げている。

各目標達成を目指し、東日本高速道路(NEXCO東日本)は20年度までに首都圏近郊の休憩施設4カ所で災害対策室やヘリポートなどを備えた「防災機能エリア」を整備。併せて、主要な休憩施設約90カ所で非常用電源設備や給水設備などを導入することを記した。

また、東京オリンピック・パラリンピックの開催までに休憩施設35カ所で、日本語を知らない外国人でも内容が分かるようにしたサイン「ピクトグラム」対応を完了したり、標識約3000カ所でナンバリング対応を済ませたりすることなども提示した。

中日本高速道路(NEXCO中日本)も100カ所の休憩施設で自家発電装置や救援物資などの配備を進めると表明。効果的な工事規制の手法を取り入れ、路上工事による渋滞損失時間を現行水準から伸ばさないようにする目標の実現に意欲を示している。

西日本高速道路会社(NEXCO西日本)も119カ所の休憩施設で72時間対応可能な自家発電設備を活用することなどを表明。22年度末に大型車駐車ますを約380台分確保する方向性などを設定している。隊列走行専用レーンの確保も検討していくことを明示している。

(藤原秀行)

3社の説明資料はコチラから

政策カテゴリの最新記事