NEDOと民間企業など、工場や物流施設の作業効率化貢献アピール
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は東京・有明の東京ビッグサイトで12月18~21日に開かれた「2019国際ロボット展」で、さまざまなロボットやAI(人工知能)の技術を公開した。「学ぶ」「助ける」「働く」といったカテゴリーごとに18の企業や団体、教育機関などが参加。出展者は独自の機能を持つ搬送ロボットのデモを行うなど、NEDOと連携して工場や物流施設の作業効率化に資することを全面的にアピールしていた。
多種多様なロボットが登場したNEDOブース
ロボット展会場のNEDOブースには川崎重工業や産業技術総合研究所、東芝、パナソニック、東京大、早稲田大、信州大、名城大、日本電産、THK、ATOUN、カワダロボティクス、セック、東京オープンソースロボティクス協会、日本品質保証機構、富士ソフト、イーソル、YOODSが集結。合わせて16種類の技術やロボットなどを公開した。
このうち、物流に関係しそうなものとしては、東芝が小回りの利く高可搬走行ユニット(台車搬送ロボット)を出展。自分の位置推定と周辺の地図作成を同時に行うSLAM技術を搭載しているほか、かご台車の下からキャスターが浮かない程度の高さに持ち上げて動かすことで転倒を防ぐ独自の搬送機能を備えている。
THKは等身大の汎用人型プラットフォームロボット「SEED-R7」シリーズを出品。さまざまな機能を付け加えることで、物流や製造の現場だけでなく、食事の配膳といった多用途で運用できるよう設計している。パナソニックは車いす型のモビリティーが屋内で周辺の物と衝突せず、人がいる環境でも安全に動ける国際規格に適合した制御ユニットなどを発表した。
併せて、3社のロボットが同じ空間にいても、互いに衝突せず自律移動できるシステムのデモを行った。システムが普及すれば限られた空間内で複数のロボットを円滑に動かせるようになり、大規模な物流現場での搬送ロボット積極投入につながると見込まれる。
3社のロボットが同じ空間にいても、互いに衝突せず自律移動できるシステムのデモ
THKはブース内で並行して、搬送や軽作業に生かせるアームを搭載した「SEED-R8」も展示。棚に置かれた缶コーヒーをアームでつかみ、コンテナに収める動作をお披露目した。全方向に移動できるほか、15キログラム程度の重さの物を持ち上げられるという。同社は数年以内の実用化を目指している。
このほか、川崎重工業は人協働双腕ロボット「duAro(デュアロ)」を使った食品搬送システムを公表。ロボット用のオープンソースソフトウェア「ROS(ロボット・オペレーション・システム)」も活用し、コンビニやスーパー向けの食品を番重に詰めたり、弁当のふたを閉めたりする作業を担える高機能を特徴としている。
ユニークな技術としては、産業技術総合研究所と信州大が、AIに人間の動きを覚えさせることで、衣類の折り畳みも可能になるデモを実施した。
「SEED-R8」
人協働双腕ロボット「duAro(デュアロ)」を使った食品搬送システム
衣類の畳み方をAIが学習
(藤原秀行)