「成長戦略より組織の足元固め優先」「郵便局網は維持が前提」

「成長戦略より組織の足元固め優先」「郵便局網は維持が前提」

日本郵政グループ3社新トップ記者会見要旨

日本郵政グループ3社の新トップが1月9日開いた就任後初の記者会見の発言要旨は以下の通り。

【日本郵政・増田寛也社長】

(かんぽ問題)
・お客さまの信頼を裏切り、契約者の方々に不利益を生じさせたことを深くおわび申し上げる
・グループ創立以来、最大の危機にある。一刻も早く全容を解明し、お客さまの不利益を解消し、再発防止策を講じて一歩一歩信頼を回復しなければならない。
・愚直に、誠実にお客さまの期待に応えていく。悪いニュースこそすぐに共有し、その克服策を考えていく。
・再発防止策はマイナスの状態をゼロに戻すだけにとどまらず、外部の専門家にも入っていただき、話を聞きながらプラスに転換できるような施策を考え、着実に実行していきたい。
・今はまだ、保険商品販売再開のことまで考えていない。まずは組織の足元を固める。
・昨年12月27日に発表した前経営陣としての退職と役員報酬減額で経営責任を明らかにしたと思っている。特別調査委と別に、新たに(旧経営陣の責任に関する)第三者委員会を設ける考えは今のところない。
・投資信託販売についても不適切な問題が起こり得るとの前提で、ゆうちょ銀行に考えてもらう。
・(かんぽ問題で)経済的被害が発生した方への(損害)回復が最優先すべきこと。

(総務省からの情報漏洩)
・総務省からの情報漏洩、しかるべく調査を進めるための準備をしている。官民癒着が当社に起きているのではないか、本来の民間会社としての企業価値を毀損することにつながるのではないか、調査すべきだと考えた。
・(総務省とのなれ合い体質との批判に対し)天下り的なこと、官民癒着につながるように見えることは慎むべき。

(郵政民営化)
・郵政民営化は着実に推進していかなければならない。早く(政府保有株や日本郵政が保有しているゆうちょ銀行、かんぽ生命の)株式を売却することが国民へのサービス改善につながる。
・不適正行為の正当化のために(かんぽ問題の原因を)民営化に帰着すべきではない。
・政府保有株の売却時期、時間軸は明示できない。信頼回復が先決。

(今後の経営について)
・(日本郵便の企業価値・収益向上へ)物流はもっと活躍できる部分はあるのではないか。
・(今後の成長戦略を記者から問われ)業務停止命令を受けている当社グループが今、投資家の方々に将来の夢を語るのは余計信頼を損ねる。会社としての成長戦略はきちんと表明できる時点で言うべき。
・今の郵便局ネットワーク維持を前提として(個々の郵便局の)価値向上を考えていく。公共性の高いサービスで地域から支持されるものはできるだけ残すべき。

(その他)
・社長就任要請は年末ぎりぎりのタイミングであった。一度は断ったが、ここまで行くと誰も引き受けないだろう、外から(郵政に)関わった経歴を生かさないといけないと思った。

【日本郵便・衣川一秀社長】

・郵便局の社員の皆さんのことを考え、グループ各社と連携しながら組織風土を風通しの良いものに変えていきたい。
・投資信託販売について、現時点で問題があるとは聞いていない。
・(BtoBなど物流事業成長策の質問に対し)郵便はほとんど(自分自身が)経験ないのは事実 副社長らとよく相談しながらやっていくしかない。早急に現状把握し対策を考える。
・増田社長と基本方針は同じで、郵便局ネットワークの維持を前提に、経費節減策を考えていく。

【かんぽ生命保険・千田哲也社長】

・信頼回復なしに、どんな商品を出しても売れない。顧客本位(の会社)に生まれ変わらないといけない。
・郵便局、その先のお客さまを何よりも大切にする組織に変わっていかなければならない。増田、衣川社長とも連携していく。
・今回の問題、経営がただちに打撃受けている状況ではない。日本郵便手数料など販売コストがなくなり、既存の商品から出る収益も大きく毀損していない。今、経営に心配ある状況ではないのは確か。


会見の冒頭に謝罪する3社長

(藤原秀行)

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