日本通運とソフトバンクグループが「スマート物流」実証実験を公開
日本通運とソフトバンクグループのWireless City Planning(WCP)は2月25日、東京・練馬区の日通拠点「江古田流通センター」で、次世代高速通信規格の5Gを活用した「スマート物流」実証実験の模様をメディアに公開した。トラックドライバー不足などの課題が山積しているのを考慮し、先端技術を組み合わせて輸送現場の業務効率化を図るのが狙い。
実験はソフトバンクが開発した、5Gを特定の場所で使えるようにする可搬式設備「おでかけ5G」を活用。トラックの荷室にレーザースキャナー「LiDAR」や積載重量センサーを取り付け、積み込まれた荷物の個数や積載率を瞬時に算出。管理画面にリアルタイムで表示した。また、荷物にスマートフォンなどを活用した加速度センターを設置し、作業スタッフが荷室に荷物を積み込んだかどうかを自動判定した。
併せて、地図上に各トラックの現在位置を映し出し、積載率などを踏まえて緊急で生じた集配のオーダーにどのトラックが応じるべきかといった運行管理をシステムが自動的に行うデモも実施した。両社は各技術を活用することで車両運行の効率化や共同物流の促進などにつながると期待している。
実験は総務省からの委託を受け、両社とソフトバンク、シャープが協力し、今年1~2月にかけて日通の江古田流通センターと奈良県大和郡山市の奈良ロジスティクスセンターで展開。多様なデバイスを同時に5Gに接続、大容量通信を生かして荷物の現在状態に関するデータを収集、冷蔵・冷凍品の温度が低下していないかや、壊れやすい品物にトラブルが生じていないかを逐次確認できるかどうかも検証した。
日通やソフトバンクグループなどは実験でトライした各技術を実際の物流現場で活用できるよう、引き続き研究・改良を進める構え。
トラックの荷室に取り付けたレーザースキャナー(左)と積載重量センサー
管理画面で積載状況(左)や積み込んだ荷物の数などをリアルタイムで表示
(藤原秀行)