【独自取材】東京海上日動火災、企業の防災・減災や早期復旧支援を強化

【独自取材】東京海上日動火災、企業の防災・減災や早期復旧支援を強化

ドローンなど活用し改善点発見、3Dレーザーで倉庫の冠水リスク算出も

東京海上日動火災保険が、顧客企業の防災・減災や早期復旧の支援に注力している。2019年は同社社員が地盤の高さを測定できる3Dレーザースキャナーを使い、倉庫が水害時に冠水するリスクの度合いをより正確に算出、荷物がダメージを受けるのを事前に回避する新たなサービスを始めた。

近年深刻な被害をもたらす災害が頻発しているのを踏まえ、損害保険会社としても保険金支払いで迅速な対応を迫られるとともに、顧客から防災・減災の面でのサポートも期待されている。同社は18年秋から、人工衛星の画像をAI(人工知能)が解析、被害範囲や浸水高を測定し、個人の契約者の住宅などが浸水といった被害を受けた場合に保険金支払いを素早く進める取り組みを行っている。

個人に加え、企業もBCP(事業継続計画)の観点から災害対応強化を迫られているため、同社は積み上げてきた調査のノウハウに加えて先端技術も駆使し、契約者のニーズを的確に把握、応えていく考えだ。

海外拠点の調査にも対応可能

同社はこれまでにもドローン(小型無人機)を使い、工場や物流施設の上空から屋上や屋根の破損の有無などを確認、改善すべき点を洗い出したり、車両保管ヤードがあるエリアの地盤の高さを精緻に割り出し、水害回避のアドバイスをしたりと、最新の機器も取り入れながら積極的に企業の防災・減災への貢献を図ってきた。昨年の大阪北部地震や西日本豪雨でもドローンを被災地で飛ばし、人が容易に立ち入れないような場所でも詳細な状況をつかむのに役立ててきた。

新たなサービスは、同社社員が3Dレーザースキャナーを背負い、災害時に冠水する危険性が高いとみられる湾岸や川沿いといったエリアに立地している倉庫などの周辺を歩きながら地盤の高さを計測。過去の冠水などに関するデータと照らし合わせ、豪雨や高潮で見込まれる被害の範囲やリスクの高さをはじき出し、企業に提供することで、防水・排水設備の導入といったリスク管理に役立ててもらうとの流れを想定している。

以前はドローンと3Dレーザーを組み合わせて調査していたが、同社社員が実地で調べる形式に変更することでドローンの飛行申請や飛行計画作成の手間を省けるメリットがある。併せて外部に委託していたデータ分析も内製化。地盤高のデータ作成に要する時間をそれまでの3カ月程度から1カ月程度まで短縮できるとみている。

同社は調査に用いる3Dレーザースキャナーは航空機の預け入れ貨物として送ることが可能なため、海外拠点の調査にも対応していけると強調。「平時に地盤高を記録しておくと災害直後に変化した地盤面との比較が可能になるので、異常が起きたエリアに対しピンポイントかつスピーディーに復旧対策を検討できる」と説明している。


最先端の損害確認技術を紹介(東京海上日動火災保険ホームページより)※クリックで拡大

水害発生をメールで警告し事前対応促す

同社は既に気象予測などを手掛ける日本気象(大阪市)とタッグを組み、台風や津波、暴風雨、大雪などが見込まれる際、顧客にメールで事前に情報を配信、警告する気象情報自動送信サービスを展開している。新サービスと連動させ、顧客企業のリスクの度合いに応じてパソコンやスマートフォンに冠水の恐れを知らせるメールを適宜送り、必要に応じて荷物を別の場所に移動させるといった事前対応を促す狙いがある。

将来は3Dレーザーの分析技術をより高度化し、倉庫などがあるエリアで路面の劣化度合いや地盤沈下を診断するといったサービス拡充を図りたい考えだ。

東京海上日動はウエアラブルカメラで撮影した高画質の映像をリアルタイムで転送できる技術を利用し、遠隔地にある事故や災害の発生現場の様子をライブ中継することで被害状況の把握や保険金支払いの判断や支払い報告書作成の迅速化を図っている。このような多様なサービスを組み合わせることで、企業の防災・減災を包括的に支援していくことを目指していく構えだ。

(藤原秀行)

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